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儚い感情 21
そして、更に念押すように、
「────あなたが好きなんです」
そう囁いてくる。
こいつは、何を言ってるんだ?
今更、今頃現れて俺を好きだなんて……
「………馬鹿も休み休み言えよ。」
おもいっきり、そう突き放すように言い放った言葉とは裏腹に……何故か俺はその腕を振り払うことが出来ない。
「………せ…────小太郎…」
耳元からは洵也の熱い声が響いて……じわじわと何かが溢れていくような感覚に少し目眩がした。
やめろ……
そんな声で名前を呼ばないでくれ。
その声で呼ばれると
「……ッ……やめろっ!!」
そして理性が崩れる寸前で、俺は全てを断ち切るように怒鳴るように叫んだ。
「やめろ……やめてくれ…」
「先生……俺の話聞いて?」
「話なんかっ…聞きたくないっ…帰れっ…」
俺は……こいつのこういう所がこわい。
知らしめるように俺の名前を呼びながら、感情を真っ直ぐにぶつけてくる。
こいつのそんなところが……こわくてこわくて……それは理性なんて木端微塵にするくらいの破壊力があって、
今だって、これ以上一緒にいたら…────
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