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儚い感情 32
その長い指が後孔へと吸い込まれる度、快感とは別の何かが生まれるのを俺はぼんやりと感じた。
「……ッ…小太郎?気持ちいい?」
「……んッ…あッ…あッ……」
「段々と柔らかくなってきたな。中…すげー熱い。そろそろ指増やすからッ…」
返事をすることさえままならないほどの刺激と快感。
「…ッ…じゅ…ん…ッ…」
「なんだよ、すげーエロいな。俺で感じてる小太郎…可愛すぎだし…指ちぎれそうだし…あんまり締め付けんなって。」
こうして最中に名前を呼ばれることも久しぶりだし、可愛いと何度も囁く熱い声も久しぶり。
全てが少しずつ蘇ってきては確かな色へと変化していく。
「……ッ…小太郎…可愛い…マジで可愛い…好きだよ……愛してる」
そしてまた繰り返される、俺への甘い囁き。
このままではきっと、
洵也の全てを受け入れてしまう。
そして、
握りしめた拳に力が入る度に、
快楽と同じ分だけ…自分の気持ちも変化してしまうだろう。
ダメだと分かっているのに、俺はブレーキをかけることが出来ない。
そんなあやふやな感情に支配された頃、
「ッ…小太郎…そろそろ限界だから、挿れるよ……」
絶妙なタイミングで洵也の苦しそうな声が聞こえた。
そして、熱くて硬いそれが後孔へとあてがわれると、
俺の胸は、
急に苦しくなった……
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