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蒼い純情 3
そう言ったあと、手慣れた手つきでもう一度口元へと煙草を運ぶ。
その、視界の端に写る星川の横顔が妙に色っぽくて…二度目を注意しそびれた、俺。
なっ…!俺は何を考えてんだ!?
つか、注意しねーとか俺どんだけだよ。
「答えは……?」
「え…答え?!」
「名前呼びしていいかって質問の答えですよ。」
フィルターから唇を離し、見上げるように少し顔を傾けフーッと煙を吐き出しながら話す姿は…やっぱり高校生には見えないほど大人びている。
「…………別に、いいけど…」
「けど?」
「いや、なんにも。」
「そうですか」
「なんだよ」
「いえ、ありがとうございます……小太郎さん。これ返します。」
「……あぁ。つか、煙草!!もう絶対こんな真似すんなよ!」
「ふふふっ…。それは小太郎さん次第ですね。」
「はぁ?どういう意味だよ!!」
「また、僕をこんな気持ちにさせたらわかりません。」
「なっ…!」
そして信号が赤になって車がちょうど停まったタイミングで、俺の視界に影が落ちる。そして、すぐに視界は開けた。
「……小太郎さん、好きです。」
チュッ…と触れるだけの星川からのキスは、
微かな煙草の匂いと、
不確かな嫉妬の味がした。
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