102 / 190

蒼い純情 3

そう言ったあと、手慣れた手つきでもう一度口元へと煙草を運ぶ。 その、視界の端に写る星川の横顔が妙に色っぽくて…二度目を注意しそびれた、俺。 なっ…!俺は何を考えてんだ!? つか、注意しねーとか俺どんだけだよ。 「答えは……?」 「え…答え?!」 「名前呼びしていいかって質問の答えですよ。」 フィルターから唇を離し、見上げるように少し顔を傾けフーッと煙を吐き出しながら話す姿は…やっぱり高校生には見えないほど大人びている。 「…………別に、いいけど…」 「けど?」 「いや、なんにも。」 「そうですか」 「なんだよ」 「いえ、ありがとうございます……小太郎さん。これ返します。」 「……あぁ。つか、煙草!!もう絶対こんな真似すんなよ!」 「ふふふっ…。それは小太郎さん次第ですね。」 「はぁ?どういう意味だよ!!」 「また、僕をこんな気持ちにさせたらわかりません。」 「なっ…!」 そして信号が赤になって車がちょうど停まったタイミングで、俺の視界に影が落ちる。そして、すぐに視界は開けた。 「……小太郎さん、好きです。」 チュッ…と触れるだけの星川からのキスは、 微かな煙草の匂いと、 不確かな嫉妬の味がした。

ともだちにシェアしよう!