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蒼い純情 6
ドアを開け、外に出ようとしたら星川が俺の腕を掴んで、それを妨げられた。
「僕、小太郎さんと海来れて…よかったです。ありがとうございます。」
「……来たばっかで言うことか?……ばーか。」
「……ですよね。さ、行きましょう。」
「あ、あぁ。」
なんとなく違和感を感じつつも、すぐにいつもの星川に戻っていたから俺は気にも止めなかった。
そんな違和感も俺の気のせいだろう…と。
*
「やっぱ、人あんまりいねーな。つか、サーファーすらいねーし。あんな駐車場いっぱいなのにとこに行ってんだか。」
「そうですね、思っていたよりはサーファーいませんね。でも、ゆっくりできて僕はこの方がいいです。」
砂浜を歩きながら、穏やかな海を眺め星川がそう呟き小さく笑う。
その横顔がどこか儚げに見えるのは……
これも気のせい…か?
「……まぁ、俺もうるせーのは嫌いだからいいんだけど。」
「ならよかったです。それに……」
「あ?」
そしてそのまま星川はそうぽつりと呟いたあと、俺の手のひらに感じた温もり。
「おっ、おいっ」
「それに、誰も居ない方がこうして手だって繋げるでしょ?」
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