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蒼い純情 11

「話……全部聞いてたんだよ、な?じぁ……あの、俺が星川のこと────」 「“割り切った関係”のことですか?」 「やっぱり聞いてたか。あ、あれはさ……」 「別に気にしてません。」 「は?」 「セフレなんだからそんな関係だと言われればそうですし、小太郎さんは僕に初めにそう言ったじゃないですか。だから、気にしてないです……それに、初めから始まってなかったんですから。」 星川が言う言葉が妙に胸に突き刺さる。 それはそうなんだけど。 さっきからモヤモヤする気持ちが膨張して……でも、このモヤモヤする原因もわからない……し、 「そ……う、か」 俺は結局そんな返事しかできなかった。 「でも、たとえセフレでもいつか僕にもチャンスが巡ってくるかもしれないて思ってました。だけど、桐谷先輩は正直予定外で。僕、例え先輩が目の前に現れても負けない自信はあったんです。小太郎さんを好きな気持ちは先輩には負けない自信。だけど、それだけじゃ何の意味もなかった。」 「意味……?」 「小太郎さん自身の本当の気持ちですよ。」 「は?」 「やっぱり、まだ好きなんですよ。小太郎さんは────先輩のことを」 星川が見つめる先は俺ではなくて目の前の海で、眼鏡越しに写る横顔があまりにも儚げで、 「星川……?」 自分でもなぜそんなことをしたのか分からなかった。 「小太郎……さん?」 ただ、なんだか触れたくなったのだ。 その頬に、 その想いに。 矛盾しているのは十分分かってる。

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