115 / 190
蒼い純情 16
*
「……ッ……ちょッ……待て……ほし……かわッ……」
背中に当たる冷たいドアがこの熱い身体を冷やしていく。
だけど、それ以上に熱は上昇していく……
熱い……
熱い……
身体中……何もかも……
あの後、雨がぽつりぽつりと降り出した海を後にした俺たちはほぼ無言のまま車に戻った。
ずっと一緒にいてやると言った手前帰るわけにもいかず、通りで見つけたラブホへとハンドルを切り、適当に部屋を選び今に至る。
これはどう考えても教師としてはしてはいけない行為。
それは十分分かってる。
なのに、
さっきから消えない身体中の熱が、俺の判断能力を徐々に低下させていった。
“今日は教師でも生徒でもない”
星川が朝言った言葉が脳内でリフレインしている。
今日は……
今日だけは……
と、
キスに応えながら俺は矛盾だからけの暗示をかけた。
「……ッ……小太郎……さ、ん……」
「…………ッ……んん」
まだ玄関先で靴も履いたまま。
なのに、俺たちは何故かキスを止めようとしない。
お互いの舌先が絡み合い、そして吐息と一緒に溢れ出す────
気持ち……
浅はかな迷いを飲み込むかのようにどちらのか分からない唾液が喉を通過する。
「んんッ……んんッ……」
呼吸もままならない俺は息苦しさから唇を離すと、星川は離れたくないかのように今度は首筋へと唇を寄せる。
「小太郎さん……好き……好き……です……」
そして、俺の耳元で変わらぬ愛を囁く……
低く、
それは────
とても苦しそうな声で……
ともだちにシェアしよう!