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蒼い純情 17

その声が頭の中に響く度、俺は不思議な感覚に陥る。 “好きです…… ……好きです” その真っ直ぐな想いは胸を抉られほどで、俺は言葉を紡ぐことも出来ぬまま、その想いに気付かないふりをする。 そしてまた曖昧に誤魔化す。 大人って狡いよな…… これだけ想いを告げられても、これだけ身体を求められても、肝心な気持ちは曖昧なままでキスだけ受け入れる。 それでもこいつは、 「小太郎さん……好き……」 また俺を甘やかすように甘く囁きキスをするんだ。 いつまで俺は、 そうしているつもりなのか…… だけど、 やっぱり、 無理だ。 俺にはこいつを受け止めることは出来ない。 だから、今夜だけは…… そう勝手に逃げ道を作り、 口を開く。 「……ッ……星川…… …………ベッド連れてけ」 キスの合間に俺がそう告げると、 「────はい」 と、落ち着いた声が聞こえた。

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