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蒼い純情 21

“小太郎” 「────か」 行為の最中にいつの間にか意識を手放していたらしい俺は、目を覚ました時に隣に視線を流して思い出す、その事実。 隣で、俺をいつの間にか腕枕している星川の寝顔は無邪気で、そんな事実が余計に意外だった。 あんな風に呼ばれたのは初めてだ。 あれほど熱を持った声で俺を呼び捨てにして…… こいつは、 そんなに俺のことが…… 好き、なのか…… そんなことは等の昔に気づいてた。 星川と親密になればなるほど、こいつが俺を本気で好きだと実感させられる場面を何度も味わって、さすがの俺でも分かる。 優等生で、 真面目で、 そんなごく普通の男子高校生が俺なんかのどこがいいのか? 俺は、おまえが思ってるような男なんかじゃないぞ。 それでも、いいのか? 寝息を立てる星川の方へ身体を向け、その頬に手を伸ばし、 少し躊躇しながら、 それでも距離は近くなる。 意味もなくドキドキして、 意味もなく…… 胸が苦しくなる。 そして、触れたその指先に伝わる温度を感じた時、 何故か…… ────泣きそうになった。 「どっ、どうたんですか……」 誰もが知ってる童話のように、触れた指先によって目を覚ましたその表情は一瞬で曇る。 「……星川……」 「……なんて顔してるんですか?」 「……いや、」 「もう少し寝ましょう。まだ、朝……までは、時間があります。」

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