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淡いキス 8

「俺が言える立場じゃないですけど、あの時みたいにまたなったら……」 「あの時って!!俺はっ!!あいつにっ……!!」 「先生、落ち着いてください。2人の間に何があったかは詳しく知りませんが、そもそも生徒と教師が付き合うなんてダメじゃないですか。それを言ってるんですよ。」 朝比奈の言ってることは正しい。 洵也の話をされて取り乱している情けない俺に、ゆっくりと語りかける姿は落ち着き払っていてまるで俺より年上のようだった。 「前に話たのが本当なら今も洵也くんが先生を好きと言うことになる。それはいいじゃないですか、もう生徒でもないんですから。でも昨日の生徒とはダメですよ。あの時と同じことを繰り返すところをまた見逃すわけにはいかないんですよ。俺ね、その辺は頭固いんで先生とは違います。」 さらりと痛いこと言いやがって。 たく、よくねーよ。 そんなことわかってるんだって。 でも、だからもう一回つき合いますなんて簡単じゃねーし。 洵也の気持ちだってどこまで本気かなんて正直わかんねーし。 「あの時、知ってるくせに騙すような真似しやがって。」 「あの時はすいません。あの時はまさかまた生徒に手を出してるなんて思ってなかったから。」 「手を出すって……でも一つ訂正しておく。昨日のあいつは別に恋人でもないんだよ。俺は洵也の一件から本気で人を好きにならなくなった。だから、星川とは……」 「遊びってこと?ですか?」 「あいつが一方的に好きだと告白してきて、セフレでもいいからって……だから。」 自分を正当化してるように聞こえるかもしれないがそれは本当のことだから、俺は悪くないとは言わないが流されただけだ。

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