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第11話
しまった、風呂って。勢いで一緒に来たが、今まで一度も一緒に風呂入った事はない。 というより、極力避けてきたはず。
プールの授業でさえ凪沙を見て緊張していた小学生の時の事を思い出す。何意識してんだ俺。
男同士だから変じゃない、意識する方が変だと言い聞かせる。
風呂に行くとちょうど二年の先輩達が風呂上がりで裸で鏡の前でポーズをとっていた。馬鹿なのかとは思うが、別に欲情するわけじゃない。
俺は、凪沙にだけ特別な感情が起きる。そしてそれはどうしても消せない。
服を脱いでいく凪沙を つい、ちらりと見てしまう。
やっぱり折れそうに華奢だ。色素の薄い白い肌は透き通りそうだ。あの肌に手を滑らせてみたい。
二度目に視線を送った時に凪沙と視線がかち合った。
「早く行こう、修斗」
大きな声で嬉しそう、お前ガキかよ。凪沙の裸を見てその肌に触れたいと思う俺はやはり相当重症だ。
風呂場には数人の同級生がいるだけで三十人は入れる風呂場は広々として心地よかった。
「よお」
近づいてきたのは 近藤。俺はこいつが嫌いだ。バスケのポジションはセンター。
やたらとでかい。で、やたらと凪沙にちょっかいを出す。
「佐伯、お前色白いなあ。女みてえ、肌もツルツルじゃん」
近藤が凪沙の背中を人差し指でたどるように触った。凪沙は「やめてよ」と、情けない声を出している。
「近藤、よせ。気色悪い」
苛っとして、いつもになく荒い口調で言う。
近藤は俺に一瞥をくれると、にやっとした。
「あれ?荻野はこっち側だと思ってたけどな。違うのか。今度、誘おうかと思っていたのに、残念」
こっち側って、どう言う意味だよ。
「まあ、いいか。そのうちな」
少しつり上がった目を細くして笑うと近藤は風呂場から出て行った。
近藤が触った凪沙の背中……何を想像してるんだ俺は。
こいつは男だ。なのにどうしても感情が言うことを聞かないんだ。
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