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第25話

 凪沙は勝手に寝てしまった。仕方なく風呂に入る。  部屋に戻ると暑かったのか、掛け布団をはねのけて凪沙が気持ちよさそうに眠っている。腰の部分のシャツとハーフパンツの隙間から肌が少しだけ見えている。こいつ細いなあとそっと触れてみる。  「んふっ」  くすぐったそうに凪沙が身をよじった。その声に消えかかっていた衝動が再燃する。  好きだと告白した相手の部屋に泊まりに来る奴が悪い。シャツをゆっくりと捲り上げた。凪沙はぴくりともしない。  はだけた姿が色っぽい。そっと胸にキスをする。ピクッと凪沙が動く。  本当に寝入っているようだ。そっと身体中にキスを落とす。これ脱がせても気がつかないんじゃないのかと、邪な考えが頭をよぎる。  熟睡中の凪沙、可愛いどうしようもなく。  これはやはり犯罪なのか?そうなるよな。凪沙の意思確認はしてない。そう思うとこれ以上先には進めずに、布団をかけて風呂に戻る。水でも浴びてこなきゃもう無理だ。  風呂から戻ると濡れた髪も乾かさず机に座って凪沙を見つめていた。  俺はこいつの寝顔を見続けて何年になるのかなと自分でもおかしくなる。  気がついたら机に寄りかかりウトウトしていた。  「修斗!」と、俺を揺さぶる凪沙に起こされた。  「何でこんな所で寝てるの?」  お前のせいだとは言えず「さあ」と答える。昨日の夜の事は俺の胸のうちに封印する事にした。  一緒に学校へ行き部活に行く。二人並んで一緒に帰る。休みにはどちらかの部屋で本読んだり、DVD見たり。勉強したり。これは今までやってきた事と何も変わらない。  ただ違うのは、動き出してしまった俺の感情。一緒にDVDを見ながら手をつなぎたくなる。 俺の部屋にいる時は、もう少し大胆になる。抱きしめて押し倒したくなる。誰も入ってくる心配が無いから。  でも、なにもさせてもらえない。  まだ自分の気持ちわからないし、高校生だよと凪沙は言う。いや、もう高校生だから、それなりの欲求はあるはずだと俺が言う。いつも押し問答。  もうすぐ俺の誕生日。何が欲しいと聞かれて、凪沙と答えて即座に却下された。今年の誕生日はちょうど連休と重なっている。二人で、何とか二人で過ごしたい。  凪沙、俺はもう自分の気持ちは伝えたよ。あとはお前の答え次第なんだ。

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