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第104話 突然の予定変更
【斗織Side】
学校から帰って即行、着替えもせずに泊まりの荷物を用意した。
この前遼の家に泊まりに行った時に使った鞄に、部屋着の着流しと寝間着の浴衣、歯ブラシやらを入れて。
着流しと浴衣は、この間と別の物を入れた。
新鮮な方が、遼も喜ぶだろう。
我ながら図々しい考えとは思うが、なんつーか…相手がわかり易いほどにキラッキラの目で見つめてくるもんだから、自意識過剰で片付けるのも違う気がするっつーか。
……まあそれは言い訳で、ただ単に俺が遼から「かっこいい」と言われたいだけなんだろう。
女々しいっつわれるかも知んねェけど、可愛いって言われたくて努力してる女の気持ちが、今なら分かる気がする。
で、なに着てく…か。
遼はロングコートがカッコイイっつってたよな。
タンスを開けて、コートを物色する。
遼はまた白い綿帽子か?
なら俺も、黒より淡灰のウールのやつのが並んで様になるか?
中に着る服を選んでいると、
「斗織。帰っているの?」
襖の外から声を掛けられた。
「はい、母上」
素直に返事をすれば、食事に出るからすぐに用意をするようにと言われる。
俺は、母親に逆らえない。
自分で結婚相手を選ぶと最大の見得を切った時、それ以外の事には不平を言わず従うようにと約束させられた。
居留守を使うんだった、と後悔しながら、まず遼へとLimeを送った。
またアイツ、可愛いカッコしてんだろうな…と未練がましい息を吐いて、そしてハッと気付く。
───中山いんのにあんな可愛いカッコ見せたら危ないだろ!!
慌てて遼に、追加のLimeを打った。
部屋着もパジャマも着るな、ジャージだけにしろって内容で。
それからすぐにシャワーを浴びて、外出用の着流しに着替えると、母親に連れられて食事へと向かった。
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