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第114話 独り占め

お米も多めに研いだし、具も沢山。さすがに余っちゃうかなって思ったごはんたち。 だけどやっぱり俺たちは育ち盛りの男子高生。 一人増えたことも有り、お釜もお皿もあっという間に空っぽになった。 特に、俺の焼いた玉子は、沢山有ったに関わらず争奪戦が勃発。 有難いような、複雑な…… って言うのも、斗織が玉子焼きのお皿を見るなり抱え込んじゃったからで…。 「オレも紫藤の玉子焼き食いたい!」 食い下がる中山に、 「テメェはテメェでオンナ作って卵焼かせりゃいいだろーが!」 イヤイヤそうじゃないだろ、って理由で睨みをきかせる斗織。 そしてその隙にそっと自分とリューガくんの分を確保する流石の級長。 だけどさ……。さすがに斗織、その言い分は無いよね…。 「斗織。オレも食べたいから、独り占めしないで皆で食べよ。ね?」 中山にも食べてもらおうと斗織に訴えかけると、 「ん…、そうか」 表情を柔らかくした斗織は、玉子焼きを一つ箸で摘んで、それを俺の口元に運んだ。 思わず口を開けて「あーん」って受け入れちゃう。 もぐもぐもぐ…… 「……じゃなくて!」

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