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第117話 女子か!

【斗織Side】 微睡む遼の体温を感じてると、俺まで眠くなってくる。 頭を抱き寄せて、このまま寝ちまうのもいいかもな…と目を閉じかけた時、騒がしくゲーム中のマメと中山とは違う方向、玄関外に人の気配があることに気付いた。 聖一郎さんが帰ったのかと思えば、大人の女性がどエライ勢いで飛び込んで来た。 「ぶふっ…!」 肩がぶつかって、不本意にも弾き飛ばされそうになる。 後ろから申し訳無さそうに、聖一郎さんが顔を見せた。 遼に抱き着いたまま寝てしまったその人は、沙綾さんと言う名の遼のお姉さんらしい。 別れた時母方に引き取られた為一緒に住んではいないそうだが、どうやらとんでも無いブラコンのようだ。 もはや変態に近い。 その勢いはともかく。 やっぱり遼のお姉さんだな。何処か遼に似ている……と、一丁前にその長い髪を撫でる遼の姿を見ながら、なんとなくそう思った。 遼が俺に甘えてくる時と、行動が少し被る。 「じゃあ僕は仕事に戻るね。遼司、お姉ちゃんのことは置いていって構わないから。皆も気にしないでごゆっくり。 斗織君、遼司をよろしくね」 「はい。責任を持ってお預かりします」 聖一郎さんは仕事の移動中、突然お姉さんに呼び出されて、車でここまで送ってきたらしい。 仕事へと戻っていく姿を見送って、 「リョーちんのとーちゃんカッケーなぁ…」 マメがしみじみと呟いた。 その眼差しは憧れに満ちている。 マメの様子に、遼は恥ずかしそうに、けど誇らしげに笑った。 「俺、父さん大好きだから、そう言ってもらえて嬉しいな。 いつか俺も父さんみたいな出来るオトコになるんだ。俺、父さんの息子だから、きっとなれると思う!」 「おう!リョーちん頑張れよ!あ、でもオレもリョーちんのとーちゃんみてェになりたいっ!」 「じゃあリューガくんも一緒にがんばろ!」 「おう!一緒にがんばろーな、リョーちん!」 2人はどうやら本気で聖一郎さんの様な未来を夢見てるようだ、が……… がんばろ!、って2人で手ェ握りあってるような奴らに、聖一郎さんみてェな未来…は、どうなんだ? 俺は後頭部に「女子か!」と一撃を加えたくて堪らない手をなんとか抑え込んだ。

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