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第118話 黒髪、長身、イケメン君

【斗織Side】 多分3時間ぐらいで起きると思う、と言う遼の言葉通り、沙綾さんは突然の来訪からきっかり3時間でベッドからムクリと起き上がった。 「ん~~~っ」 両手を思い切り上げて伸びをすると、遼の姿を探し、俺の隣に見つければ「遼ちゃんおはよー」と綺麗に微笑んだ。 性格は全く異なるようだが、容姿はやはり似ている。 遼は元々中性的な顔をしているが、完全に女に寄るとこうなるんだろうな、と想像できる顔、と言うか。 「あっ、どうも~。遼ちゃんのお姉ちゃんの沙綾(さあや)ちゃんです。よろしくね」 今更の自己紹介をすると沙綾さんは俺たちを見回して、一度通り過ぎた俺へと視線を戻した。 「黒髪、長身、イケメン君。…君が遼ちゃんの彼氏でしょ?」 ニヤリと片方の口角だけを持ち上げる。 遼がこういった表情をすることは無いから、新鮮っちゃあ新鮮だ。 「えーっ!どうして分かるの!?お姉ちゃん!」 遼は驚いたように声を上げるが…… いや、今沙綾さんが全部答え言ったろうが。 俺が、黒髪で長身で顔もそれなりに整ってるからだよ、このファザコン。 「はじめまして、羽崎斗織です」 「あんっ、声もイケメン」 挨拶すると、沙綾さんは楽しそうに声を出して笑った。 ここの家では、息子や弟に男の恋人が出来ても、大して問題視されないらしい。 まあ、俺としては助かるが。

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