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第120話 乙女趣味
【斗織Side】
「じゃーん!」
カバンから色とりどりの布を取り出した沙綾さんに、俺の頭に浮かんだのは、
───この人か!!
の一言だった。
色とりどりの布──正しくは、衣類だ。
もこもこした淡い水色の……これはネズミか?
薄いオレンジ、これは……ネコだ、な。
薄黄色に茶の模様、これはトラ……いや、トラ柄のネコだ。
それがそれぞれパーカーと、やっぱりショートパンツに、長い靴下のセットになってる。
パーカーのフードに動物の顔が付いてりゃあキャラもんの部屋着かとも思うが、これはなんつーか、中身ありき……可愛い奴が着てこその、つーか、あざとい可愛さっつーか………。
てか、犯人この人か!!
「ルームウェア、遼ちゃんに合わせてデザインしたのよ。それからね、パジャマも!」
ハイテンションで、カバンから取り出した別の布を広げだす。
そうだな…、色は悪くないな。
薄い青なら、男として完全アリだろ。
その縁取りがピンクで、チェック柄のポケットから変な生き物が顔出してなけりゃあな!
「この子は氷の妖精さんなの。可愛くない?可愛いでしょーっ!」
「うん、可愛い~」
───可愛いのかよっ!!
あれだな…、遼の乙女趣味みたいのは、この人から植え付けられたものなんだな。
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