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第122話 天然女豹

【斗織Side】 そろそろ出るつもりだったんだが…。突如始まった撮影会により、結構時間を食っちまった。 ……いや、マジでこいつら何してんだ? 男子高生が部屋着の男子高生の写真撮って盛り上がってやがる。 俺も写真を撮った方がいいのか? なんとなくカメラアプリを立ち上げてみたが、マメが写り込むのもな…。 大和兄さんへの手土産として持ってってもいいが。ぜってーウケっし。 逆に、遼の写ってる写真は見せたくねェしな…。 そんなことを考えてシャッターをタップせずにいると、 「斗織…?」 猫の格好をした遼が、ネコが座ってるみたいなポーズを取って、それから身を低くして、顔を覗き込んできた。 ───天然で女豹のポーズか!! 咄嗟に指が、シャッターを押していた。 「ん…?」 シャッター音に首を傾げる。 可愛いな…。 もう一枚。 「…………」 何やってんだよ俺は……!! 「あっ、羽崎ズリーっ!なんでそんな可愛いポーズ取らせてんだよ!」 「別にやらせてねーよ。俺の前だと勝手に可愛くなっちまうんだろ」 文句を付けてくる中山を一刀のもとに斬り捨てて、遼の頭に被るフードを外した。 「遼、そろそろ出るから用意しろ。それ、持ってってもいいから」 「えっ、ほんと!?お姉ちゃーん、斗織がこれ着てっていいって」 嬉しそうに走りだしてった遼に、不安を覚える。 まさかアイツ、コート羽織れば着たまんまで問題無い、なんて思ってねェだろーな…? 「りぅがくんも着て帰る?」 「えっ、いや、…オレ、これ着てたらジイちゃんに怒られる……」 いや、予想を裏切らねェよな、お前はホント。 マジで着てこうと思ってたのか、遼のヤツ……。

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