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第125話 ジェラシー

バカなこと言ってる恋人に腹が立つ。 声だって勝手に荒ぶっちゃう。 「ナチュラルメイクって、見てわかんないの?薄く見えるようにがっつり重ねてるからね、この子も!」 ドン、と乱暴に隣に腰を下ろした俺に驚いたみたいで、斗織はうぉっと声を上げた。 「芸能人のブログとかに載っけてるノーメイクの写真だって、目がおっきく見えるカラコン入ってたり、アイプチしてたり、まつ毛エクステしてたり、グロスで唇ぷくってさせてたり、光で飛ばしてたり、アプリで加工してたり、すっごい修正入ってるんだから」 「あ、…ああ……」 「大体、デザイナーが意見を聞かせてって言ってんだから、服のことに決まってんだろ!誰が女の顔の好み教えろって言ったよ!」 「あ…」 「「あ」」 斗織、リューガくん、中山が俺の言葉に固まると、級長がプッと小さく吹き出した。 級長は、お姉ちゃんの質問の意図を理解していたらしい。 「もー、そんなに女の子が気になるなら3人でナンパでもして来れば。俺、級長と2人でお泊り会楽しむから」 「なっ、…お前っ!」 何にビックリしたんだか、斗織はそう言ったまま口をパクパク、固まってしまう。 俺は追い打ちを掛けるように、更に罵声を浴びせた。 「女の子がいいなら俺なんかいらないだろ、ばーかっ!」 勢いよく言い切ったはいいけど、斗織の凶暴さを忘れたワケじゃない。 馬鹿なんて言ったら、絶対に報復を受ける!! だから俺は絶対に安全な場所、お姉ちゃんの陰に身を潜めた。 言い逃げ上等。だって、考えるまでもなく斗織の方が圧倒的に強いんだもん。俺は、口で対抗するしかない。 「遼……」 ほら、おっかない声で脅してくる。 「だっ、だって、俺はモデルの子見てもなんとも思わないのに、斗織は好みだとか可愛いとかって言うじゃん。そう言う浮ついた気持ちを、浮気って言うんです! 俺、悪くないもん。悪いのそっちだもん」 「あのなぁ……」 手が伸びてきたから、バッと身を伏せる。 「()けんな」 「やだっ、お姉ちゃんたすけてっ!」 お姉ちゃんの前に回って、腰にぎゅっと抱き付いた。

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