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第126話 子猫かトラか
「遼ちゃんかわい~~~っ!」
「柴藤君っ、それはヤキモチですね!ジェラシーですね!?」
突然、お姉ちゃんと、それから級長のテンションが跳ね上がった。
まあ、お姉ちゃんはずっとハイテンション気味だったかもしれないけど、さっきまで優しいお兄さん顔をしていた級長まで、なんだか急におかしくなってる。
「遼ちゃんっ、斗織君が女の子見て、可愛い、タイプ、抱きたい!なんて言うから、嫉妬に狂っちゃったのね。分かる~っ。いいのよ! 焼きなさい焼きなさいっ!」
「そうです、柴藤君! そこは目一杯嫉妬すべきです! 羽崎君は誰よりも優先させるべき君よりも、初めて写真で見たばかりの女性モデルの方を愛しいと言っているのですから!」
「う、…うん……」
斗織、そこまでは言ってない気がする…けど……。
「遼、殴らないからこっち来い」
斗織が溜息を吐きながら手招きした。
「まあっ、斗織君ってば普段遼ちゃんに暴力振るってるの? DV夫?」
お姉ちゃんが斗織に訝し気な視線を投げかける。
「いや、DVとかじゃ、……じゃれつく程度です」
そう断った斗織に、更に眉を顰める。
「斗織君、ライオンが子猫にじゃれついたら危ないのは分かる?」
「お姉ちゃんっ、大丈夫だから!」
雲行きが怪しくなってきたことに気付いて、慌てて口を挿みこんだ。
「斗織がライオンだったら、俺もトラぐらいは強いもん」
斗織の腰にタックルみたいに飛びつく。
「うぐっ」って小さくうめき声を上げたけど、斗織はなんとか俺を無事に受け止めてくれた。
「斗織、お姉ちゃん結構過保護なんだ、ごめんね」
本人には聞こえないようコソッと伝えると、斗織が口元を押さえて小さく吹き出した。
「…いや、ファザコンの姉がブラコンとか…」
「え?なに?」
声がくぐもって良く聞こえなかったから聞き返すと、斗織は「なんでもねェ」と立てた手を横に振った。
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