135 / 418
第135話 腐男子じゃない
リューガくんのお母さんは、やっぱりリューガくんのお母さん。と言うか……
とっても小柄で優しい雰囲気の人だった。
うちの母さんも小さい方だけど、それより5cm以上低いかな。
だって、並んで立つリューガくんが大きく見えたもん。
斗織のお母さんは、遠目だったけど……、背の高い人だったかなぁ。
斗織と並んで歩いてたのを見た時、リューガくんと一緒に居る姿よりも身長差が無いように見えた。
綺麗で、強そうな人だった。
俺、斗織の恋人に相応しくないって拒絶されたら、ちゃんと言い返せるかな…?
太刀打ちできるかなぁ……?
ちなみに、リューガくんのお家は、母屋にお祖父さん夫婦とお父さん夫婦の部屋。リューガくん、弟、妹、3人兄弟の子供部屋は離れの中にある。
更に、道場、蔵、絵に描いたような錦鯉の泳ぐ池のある庭があったりして…。
これで電気機器が無くてリューガくん家族が着物を着てたりしたら、ほんと武家屋敷みたいだ。
「大豆田君のお母上、可愛らしい方でしたね」
離れのリューガくんの部屋に皆で布団を敷きながら、級長がフッと笑みを零した。
リューガくんは布団を敷く手を止めると、級長を目に映して眉を顰める。
「はぁ!?…なんだよ級長、うちのかーちゃんのことエロい目で見んなよな!」
「見ていませんよ」
わぁっ!ヤキモチかな?ヤキモチなのかな、リューガくんっ。
ドキドキする胸を押さえて2人を見守りながら、
───あ、あれ? 俺、なんで2人の成り行きがこんなに気になっちゃってんだろう?
ふと疑問を覚えた。
えっ、とぉ……
とっ、友達だからだよね?!友達の恋愛ってやっぱり応援したいじゃん!だから、それでドキドキしちゃうだけの話だよね?!
俺、級長に感化されて腐男子になっちゃったわけじゃないよね!?
「遼…?」
「はっ、はいっ?! 俺もりぅがくんのお母さん、可愛いと思いますっ!」
「はあ?」
声を掛けられて慌てたまま答えると、斗織に呆れたような不審げな視線を向けられた。
う、…うぅ。確かに自分でも変なこと言った気はするけどさぁ、そんな目で見なくたっていいじゃんよー!
「なに? お前年増好き?」
斗織の言葉に慌てて首を横に振る。
「トオル! なにうちのかーちゃんのこと年増とか言ってんだよ!」
後ろから枕を投げつけるリューガくん。
そうだよ! 斗織、今の大分失礼だったぞ。
せめて年上とか、人妻とか……うぅん? 人妻って、高校生が口にすべき言葉じゃないなぁ。
禁断の、って感じ。
ともだちにシェアしよう!