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第151話 待ち人襲来

【斗織Side】 「よっ、なに気持ち(わり)ぃ顔してんの?」 門の表に寄り掛かっていた俺に、随分と呑気な声が掛けられた。 スマホから顔を上げて表情を窺う。 いつも通り、飄々としてるっつーかなんつーか…。 若・高〇純次っつか。 「悪ィ、ちょい待って。こんだけ送っちまうから」 待ち人に逆に待ってもらって、遼にメッセで暫くスマホが見られない事を伝える。 それから、 ……まあ、 『遼の内臓も何もかも』 で止めるこたなかったよな。 声掛けられて慌てて送信押しちまっただけだから、この人の所為とも言い切れねーし。 だが更に、さっきの続きだが……等と断って続けんのもなんだか気まずい。 照れる…、とは違うか? その言葉を使うほうがより恥ずかしさが増すような気がするから使いたくねーんだけど、今の気持ちを表すなら、やっぱり「恥ずかしい」が最適か。 遼から送られてきた「好き」の嵐に、アイツスゲーな、と感心すら覚える。 面と向かって言う分にはその場の勢いで乗りきれるが。……気持ちが溢れ出してっつーか。 後に残る文字で送るとなると……いや、コレマジで、照れんだろ。 「斗織、相手リョーくんか?」 足をコンッと蹴っ飛ばされる。 「ワリ、すぐ送る」 「いや、待つけどさ」 そうだ! Limeにはスタンプがあるじゃねェか。なんの為のスタンプだと思ってたんだよ。使うなら今しかねェだろ! スマホを弄くって適当なスタンプを探す。 適当っても、いい加減って意味でじゃない。条件に叶ったピッタリのっつー方の意味だ。 そして見つけたゴツい男のスタンプを遼に向けて送信した。 時間は経っちまったけど、迷わず先の言葉に続けてくれることを願いながら。
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