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第152話 可愛い弟分
【マナちゃんSide】
本人には気持ち悪ぃ顔、つったけど、本気でそう思ってるわけじゃない。
ただ、斗織が門に寄り掛かってスマホを見ながら矢鱈と優しい顔をしていたから、からかってやりたくなっただけだ。
俺としちゃあ、そんないい顔も出来るようになったんだなって、子供の成長でも見守ってる気分。
こいつと初めて会ったのは、高1ん時だから、もう11年も前のことだ。
今、高2で17だっけ。
んじゃ、あの頃はまだ6才か。そう言やまだ小学校にすら通ってなかったチビだったかも。
今じゃすっかり俺の身長も超えやがって……つか、中坊ん時に一瞬で超されたんだっけか。
チビん頃は一也さんと話してる俺に寄ってきちゃあ、抱っこ~ってせがまれたもんだが。
父親が医者で忙しいからか、感覚的に一也さんが父親みたいなもんだったもんな。
母親が厳格な人だから、あんまり甘えらんなかったろうし。
だから一也さんが父親なら、俺が母親……じゃあねーか。こいつ、俺が一也さん好きなことに全く気付いてなかったくらいだもんな。
よく遊びに来る一也さんの友達のお兄さん、ぐらいの感覚か。
昨日、羽崎家の次男坊、大和に連絡をとってみれば、偶然今日は夜勤からの朝上がりだから午後は空いていると返事が来た。
大和は私立病院の医者、俺は高校の養護教諭。2人の空き時間は中々合わなくて、もう何ヶ月ぐらい会っていないだろう。……いや、年単位でか。
一也さんとは短い時間でも合えば会いたくなるけれど、大和は、別に……
アイツすぐ人のこと小突くしな。
グーの中指だけちょっと立てて、そこでゴチンとやられた日にゃあ、翌日まで、下手すりゃ翌週まで消えないタンコブが出来上がる。
高校の頃なんか、昨日出来たタンコブにまたタンコブを重ねられ、タンコブでゆきだるま、なんてマンガみてーなことをリアルにやられたもんだ。
まあ、それは置いとき、善は急げ。
鬼の大和に「羽崎家跡取り問題は任せた」と共に伝えるために、斗織に連絡を取ったわけだが。
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