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第153話 正解は
【マナちゃんSide】
昨夜、自宅にて。歯ブラシ片手にスマホをつけた。
『明日空いてる?』
『一也兄さん?』
『いや、お前だお前。
つか、今なにしてんの?』
Limeのやり取りをしていても平気なのかと訊ねれば、
『マメのトコ
遼たちと泊まり』
まあ、楽しそうだこと。
そんな若者の青春の一コマをさ、大人の都合で奪っちゃ可哀想だろ。
『まーじで?
今度は俺も誘いなさいよ』
『誘わねーよ』
これは拒絶の言葉じゃないな。絶対口元ほころんでる筈。
リアルで拒否られてるなんてことになったらお兄さんマジ泣きしちゃうから、勝手にそういうことにする。
『んじゃ、お泊り楽しめな』
『明日は? なんかあんじゃねーの?』
口は悪いけど心根は優しい斗織。
そのまま流されないで訊き返してくれる。
だから俺は、斗織が誘われたことを気にしないで済むような答えを用意しなくてはならない。
出来れば、斗織が引くくらい変なことを。
『もうすぐクリスマスじゃん?
一也さんへのプレゼントを一緒に選んでもらいたかったんだけどさぁ。
斗織なら、遼君から何もらったら嬉しい?
ベタにリボンでラッピングして、
プレゼントはオ・レ♡、ってやつ?』
『いや、それおっさんの発想だろ』
『はぁん? じゃあお前、リョーくんにそれされても手ぇ出さないで我慢できっつんだな?
リボンから乳輪ちょびっとはみ出てんだぞ!
ち〇こんトコのリボン湿って色が濃くなってんだぞ!』
『マナちゃん、もしかしてさ』
……ん? なんだ? メッセ途切れた?
放置して続きを待っていると、暫くしてようやっと、スマホがちょっと控えめにブルブルッと震えた。
まあ、送り主の心情で左右されるような繊細な機械な訳ねーし、控えめに、なんて絶対気のせいなんだけどさ。
『一也兄さんが掘られる方?』
…………ぶっは! コイツおっもしれーな。
俺が一也さんに「プレゼントは俺」ってやって欲しいと思ってるって?
まさかそんな訳もなく、話を逸らす為だけに振ったネタだったんだけど。
ま、一也さんがやってくれるなら美味しく頂く(襲い受け的なやつで)し、一也さんがやってくれっつーなら、俺がやってやらん事もないけどな。
『え?
お前もしかして、
一也さんが突っ込む方だと思ってたの?』
すかさずそう返せば、また暫く返信が途絶えた。
30秒…1分……3分…
………流石に可哀想になってきたな。
『つってな!
正解は、俺が一也さんに突っ込まれてる、でした!』
ネタバレを送ってやれば、
『アホか!!』
文字じゃ分かりづらいけど、多分全力の返しがスタンプと共に送り返された。
ヤベ、鬼がめっさ怒ってるスタンプなんだけど。激おこ! つって。
アイツ、かわい~なぁ。
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