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第154話 守ってあげる
【マナちゃんSide】
お泊りの邪魔しちゃ可哀想ってんで、雑談のままLimeを終わらせて、今朝改めてメッセを送った。
『今日、大和んトコ行こうと思ってんだけどさ
お前も一緒する?』
遊んでる最中で悪かったかな……とも思ったけど、今日を逃したら次いつ会えるか分かんねーじゃん。
リョーくんもさ、早く安心したいでしょ?
……なんつって、ホントは俺が早く罪悪感や恐怖から解放されたかっただけなんだけど。
斗織が来ないなら別に、1人で行くし。
斗織の時はまた、後日でも付き合ってやるからさ。
自分の中の悪い意味でのドキドキに、言い訳を繰り返して平気だと言い聞かせていると、スマホがLimeメッセの受信を告げた。
斗織からの返信だった。
『行く
午後からでいいか?
遼のこと家まで送ってから、連絡するから』
『悪いな。遊んでるとこ』
『いや、先延ばしにしてもいいことないし
マナちゃんこそ、誘ってくれて』
一旦言葉が切れて、送られてきたスタンプには「Thank you!」の文字。
ほんっと、いつまでも可愛いよな、斗織。
照れてんのか? 文字で打つのが恥ずかしいのか? ん?
で、俺を待つ姿を遠くから眺めれば、スマホ眺めて微笑んでんだから。
ああ、こんなデッケェ図体だけど、俺が守ってやんなきゃな、って思っちまうワケだ。
石畳を踏みしめながら、目指すのはいつもの母屋ではなく、大和家族の暮らす鬼の住処・離れ。
「あー……、流石にキンチョーすっな……」
冷たい汗をかいた掌を握り思わず零せば、一丁前に頭をポンってしてきやがった。
「なるようにしかなんねェだろ。とにかく俺たちは大和兄さんに誠意を見せる。それだけだ」
斗織の作戦は「誠意」らしい。
……そうだな。大和の方が一枚も二枚も上手だし、こっちはひたすら正攻法で押していくしか……ないのかもな。
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