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第169話 個人情報

【斗織Side】 ……でも、まあ、なんつーか、……幸せそうな顔してんな、コイツら。 言わなくても、付き合ってんのモロバレじゃね、って雰囲気の2人に、恥ずかしさ90%、んでも残りの10%は、誇らしさすら感じるっつーか……。 こんな顔して互いを見てるヤツらがいたらさ、俺だったら引き剥がしてやろうとか考えねェわけだよ。 中山が最近大人しいのもソレか、つーか。牧原のヤツ、こんな写真見せられて、よく別れさせてやろうなんざ思いやがったな。 そう云うトコが、まだ餓鬼なのかもな。 「あっ、あー! 俺の個人情報~っ」 突然の声に顔を上げると、遼がA4のコピー用紙を持って騒いでやがる。 「どうした?」 「俺の名前から住所から調べ上げてあって、……これ、悪用されたりしないかなぁ?」 眉毛をハの字に泣きそうな顔。 あのガキ、遼にこんな顔させやがって……チッ、覚えてろよ、クソガキが。 「今回は、これを調べるのが目的だったんだろ。他のことには使わないと思うぞ。つーか俺の個人情報なんか、探偵事務所に逆に金払ってまで伝えた奴がいるっつーか」 「あ、……そっか。斗織の恋人を調べさせたんだもんね。斗織の情報、初めに渡されちゃったんだ」 遼から書類を受け取って、何処の探偵事務所のもんだか調べてみるが、あわせて封筒にすら事務所の名前は書いていない。 「さっきのヤツ、アレだ。お前らが昨日見たっつー、着物の娘の方」 「えっ、昨日の今日で?」 目を丸める遼に同意する。 昨日のうち探偵に依頼して、ここに送ってきた際に尾行されたんだろうが。 牧原にしろ探偵にしろ、凄い行動力だな。暇なのか? 「んなことより」 封筒をダイニングテーブルに置いて、ベッドに戻って腰を下ろす。 隣をポン、と叩けば、遼は嬉しそうに笑ってベッドじゃなく、俺の膝に正面から跨ってきた。 「んーっ、ちゅう」 首に手を回してねだってくる。 応えない俺にしびれを切らしたようで、閉じていた瞼を上げて、コテンと首を傾げる。 「ちゅー、してくれないの?」 は…はは……、マジか、俺。なんもしてねーのに勃ってきたとか、中学生か。 「もっとスゲーこと、してやるよ」 テメェの方がよっぽど我慢きかねェクセに大人ぶって囁いてやると、あんなに積極的だった遼は途端に顔を赤く染めて、 「よろしくお願いします……」 と再び瞼をそっと下ろした。

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