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第172話 壊れちゃうくらい

【斗織Side】 大切にしたいと思う反面、俺だけしか見えなくなるようぶっ壊してやりたいなんて狂気染みた感情が湧きあがったりもする。 相反する感情の筈なのに、確かにそれは同じ想いから生まれ出るもので、自分のガキっぽさに自嘲の笑みが漏れた。 こんなことを考えてるなんて知ったら、遼は怖がるだろうか。 それとも、自分も同じだと、しあわせそうに笑うんだろうか。 だが、今こうしている時だけは、 ───遼、俺だけを見て、俺だけを感じてろ。 それを望んでもいいだろう? 腰をぐっと引いて頬を撫で上げると、睫毛を震わせ うっすらと瞼が開いた。 キスをして唇を離すと、蒸気した顔でへらっと笑う。 「もっと…して」 「もっとって、どっちをだよ」 キスか、それともこっちか、と浅い部分で出し挿れを繰り返せば、物足りなさそうに「こっち」と腰を寄せてくる。 「なんだよ、自分で動きたくなった? 上、乗るか?」 からかってトロトロの先を弾けば、ブルッと体を震わし、首を横に振った。 「だ、め…。き…じょーぃ…、恥ずかしいもん……」 「なら、ちゃんとおねだり出来ねェとな」 「ぅ………」 時々こっちがビックリするぐれェ突然エロいこと言ってくるくせに、求められれば恥ずかしいのか、目に涙を溜めて見上げていたかと思えば不意に顔を隠す。 「おく……」 「ん?」 良く聞こえなくて聞き返す。 「……あのね、奥まで、ね…いっぱい、俺のこと、……壊れちゃうくらい、求めてほしい…です」 プルプルと恥ずかしさに震えた声は小さかったが、俺の欲を爆発させるにはデカすぎたぐらいで。 求められるがままに細い腰を掴んで奥まで、奥の奥まで何度も欲を打ち付けた。 突き上げるたび遼の口からは甘い悲鳴にも似た声が上がり、熟れた先端から液が飛び散る。 腹に、胸に、顔に。自分のもので汚れていくその姿に、俺の熱も堪えられずに膨らんでいくばかりで。 「あっ、あぁっ、ふぁっ、んぁあっ」 意味のある言葉を紡ぎ出すことを忘れたその唇はだらしなく開きっ放しで、その端からは抑えられなかった唾液が垂れている。 イキっ放しの中はうねって、俺を逃がさないよう締め付ける。 「ヤベ……限界」 遼の瞼がうっすらと上がる。うつろな瞳が俺の顔を捉えた。 イケっつってんのか? 一丁前に。 俺の足首を必死に握っていた両手が、こっちに向かって伸ばされる。 抱きしめてイッて欲しいのか? けど、悪ィな、遼。俺は今、お前を汚したい気分なんだよ。 限界一歩手前、中から引き抜いて、ゴムを乱暴に剥ぐ。 伸ばされた手を一方掴み、無理矢理握らせた上から手を押さえつけ激しく扱く。 「はっ、ヤバ、口開けろ、遼」 素直に遼が口を開けるのを確認した直後、俺に溜まった熱は白く濁った欲望をその顔に、口に、胸元へと吐き出し、綺麗なそれを欲で穢した。 「はぁ、はぁ……っ」 荒く息を繰り返して遼は少しだけ息を整えると、 「斗織、…すき」 やっぱり穢れなんか知らない綺麗な顔で、嬉しそうに微笑んだのだった。

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