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第177話 お嬢様方
高原くんはミニのメイド服に、黒髪ボブカット。
リューガくんはミニスカポリスに、ロングのハニーブラウンのウェービーヘア。
そして俺は、薄ピンクのミニナースワンピに、ミルクティーブラウンのセミロングウィッグを着けさせられていた。
変身完了~!とお姉さんたちはキャッキャッしながら俺たちの姿を数枚写真に収めた後、満足したのか「またね」と手を振って帰っていった。
と言う訳で、俺は今とっても、声を大にして叫びたい。
なんで俺たち女装なんてさせられてんのーっ!?
またね、なんてもう無いと思いたい……シクシク
置き去りにされた俺たちは暫く呆然としていたけれど、やがてこちらを振り向いたリューガくん、
「うわっ、リョーちん女装すると沙綾さんそっくり!」
びっくりしたみたいにそう言って、カラカラと笑った。
その笑顔を見てたらなんだかホッとして、俺も笑顔で「ほんと?」って聞き返す。
「ほんとほんと! あ、でも沙綾さんの勢いはないかな~。あの人スゲーもんなあ」
「わぁ、俺 女装すると美人になるんだ!」
「紫藤くんは女装しなくても美人だよ」
そう云う高原くんは、ふわりとした雰囲気の、優しそうなメイドさん。
「高原もかわい~よなぁ」
「うんうんっ! 俺 子供だったらきっと、仕事中でも迷惑顧みず遊んでって言っちゃう。絶対断らないで遊んでくれるでしょう?」
「だよなあ! 高原 優しいから、困ってても断れなさそう!」
「う…、断れないかもだけど、……褒め過ぎ、です……」
照れて真っ赤になっちゃう高原くんはまるで本物の純粋な女の子みたいだ。
「なあ、リョーちん、高原、俺は俺はっ!?」
オモチャの銃を構えて「逮捕しちゃうゾ☆バァーン」なんてノリノリなリューガくん。
「ふふっ、そんな可愛い婦警さんになら逮捕されたいかも」
「うん、大豆田くん、かわいいねぇ」
「マジでマジで!? あ、高原、オレのことはリューガでいいぞ」
「あっ、俺のことも遼って呼んで」
「え、と…、りゅーがくんと、りょーくん…。僕のことも、紘太って呼んでくれる?」
「うん、ひろたん」
「っ、ひろたん!?」
「ふはっ、可愛いじゃん。ひ~ろたんっ」
「たんは恥ずかしいよぉっ」
それから暫く3人で、銃や聴診器やカチューシャなんかをいじって遊んでいると、
「さて、お嬢様方。そろそろ此方 にもお姿を見せて頂けますか?」
やけに畏まった口調の級長の声が、カーテンの向こうから聞こえてきた。
「やーだね。お前ら女装してねーじゃん」
リューガくんが答える。
「女装はしていませんが、サンタ帽は被っていますよ」
「俺、トナカイのカチューシャ装着されたぞ」
中山の声。
「食いもんも飲みもんも俺らで片付けちまうぞー」
それから、3人の内の誰かの声。
「ばっ、…待った!」
慌てたリューガくんが、バッとカーテンを開け放った。
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