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第178話 テヘッ
「……ずるい」
思わず、と言った感じで呟いたひろたんに同意。
5人は普通にコートを脱いだだけの私服に、サンタ帽やトナカイカチューシャを着けただけの格好だ。
俺たちなんて、「なにこのモチモチ肌っ! 白いわ綺麗だわキメ細かいわ、この肌に何か塗るなんて勿体無い!」て理由からファンデーションは免れたけど、チーク、ハイライト、シャドウ、マスカラ、ルージュ、グロス、とか言ってなんか色々顔にゴテゴテ重ね塗られたし、女の子向けコスプレ衣装なんて着させられてるし!
「ていうか、これ女性用の服だろ。俺、男用のLサイズ、もっとブカブカだもん」
袋に付いてたサイズ表記を見てからずっと言いたかった文句を口にすると、リューガくんも「そうだそうだ」と重ねてくる。
「俺のMだけど、胸んとこスッカスカだぞ。詰め物用意しとけ」
リューガくん、文句の方向がおかしい……。
「僕もMだった……。入るのおかしい。女性物なのに」
それは……、ひろたん、身長160cmくらいはありそうだけど、体型華奢だから、入るの自体はおかしくないと思う。
「それさぁ、ホントは来る予定だった女の子たちに合わせて用意したんだけど、慶○ボーイと合コン入っちゃった、ごめんね、テヘッとか言う理由でドタキャンされてさぁ。
代わりに着せちゃった。ごめんね、テヘッ」
頭をコツンって舌を出す田中くんに、リューガくんが「テヘじゃねーよ!」と殴りかかる。
だけど慣れないピンヒールがカーペットに引っかかって、
「うわっ、ととっ、どけ田中っ」
どけって言われてるのに手を広げて「おいで、子猫ちゃ~ん」とフザける田中くん。
確かに! ミニスカポリスのリューガくんは可愛い。思わず抱きしめたくなっちゃう男心が分からないでもない、けども!
リューガくんは級長のーっ!!
「うぉっ!」
「……ふぅー。大丈夫ですか?」
俺の心の叫びが届いたのかどうなのか、危機一髪、級長がリューガくんの腰を後ろから支えていた。
「ワリ、級長。……ふわっ!?」
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