180 / 418
第180話 ピュアなあの子
級長たちの座るソファーは3人掛け。
級長がリューガくんを抱っこしてても、残る席は一つだけ。
例えば中山に佐藤くんの隣に移ってもらって俺たちが3人掛けに並んだとして、俺たちはそれで安全だけど、きっとあいつらは納得しないだろう。
だって、それで満足するような連中なら、きっと男に女装なんてさせないで、リアルに男だけで楽しくパーティ出来る筈だもん。
だから、残る一席はひろたんに譲るとして、……やだやだ!俺も佐藤くんの隣でエロいことされちゃうの絶対やだ!
エロいことしない人……、級長の他には中山しかいないけど、中山の膝にだって俺は座りたくない!
斗織の膝に誰か他のやつが座ってたら、男だろうが女だろうが、俺 嫉妬の炎メラメラさせちゃうもん。
斗織だってきっと、俺が他の誰かの膝に座ったって聞いたらいい気はしない。
頭をフルに働かせて、多分ここまでの考察時間、3秒程度。
不安げなひろたんの表情は変わらなくて、守ってあげるからね!と心で話しかけながら、その耳元にそっと問い掛ける。
「ひろたん、恋人いる?」
「えっ…?……いないっ」
真っ赤な顔で首を横に振る。
「じゃあ、中山は嫌い?」
「ううんっ、すき。…あっ、嫌いじゃない、平気っ」
恋人いない、中山は平気。だったら……
ひろたんの手を掴んで、勿論右側、級長たちの座るソファーへ向かう。
ひろたんを先に歩かせて、中山の前でストップ。
「中山も、だっこしてね」
「へっ、…紫藤!?」
ガタッと二人分の体重が乗ったソファーを動かすぐらいビックリして立ち上がった中山の、その隣にドカッと腰を下ろした。
「俺この席がいい」
譲らないぞと腕を組んで、ふんぞり返って前の2人に笑い掛ける。
どーだ、俺の作戦は!
「えっ、りょーくん、僕は?」
ひろたんにまだ不安な顔させて。もーっ、中山は!
「中山、座る!」
バシッとソファーの背もたれを叩くと、中山は頭に?マークを浮かべた表情のままソファーに腰を下ろした。
で、俺は更にその太腿をぺしぺし叩いてみせる。
「ひろたんはここ」
「えっ…」
「えっ!?」
「うるさい、中山。こーこ」
掴んで引き寄せようとすると、ひろたんの手はするりと抜け出し、真っ赤になった顔を両手で覆い隠した。
かわいい~。ピュア!なんか純粋って言うか、…ああ、かわいーっ。
俺も斗織相手にこんな反応してみたい!
絶対、可愛いって思ってもらえるもん!
ともだちにシェアしよう!