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第181話 TOP3

「高原くん、大丈夫ですよ」 どうしたらいいか分からずにそのまま立ち尽くすひろたんに、級長の優しい声が掛けられる。 「中山君は変態ですが、非道なことはしないと思いますよ、恐らく」 「ちょっ…! 誰が変態!?  高原、俺非道なこととかぜってーしねーから! 恐らくじゃなくて! 変態でもねーし!」 焦ってる中山はいつも通り面白かったけれど、 「だから、ほら、俺を信じてここに来い」 両手を伸ばした中山に、不覚にも格好良いとか思ってしまった。 流石サッカー少年。 俺を信じてパスを出せ、的な? ひろたんは掌を顔から離すと、やっぱりまだ真っ赤な顔でうんと頷いて、中山の胸に思い切り飛び込んだ。 飛び込んだ。 ……飛び込んだ……よねぇ…………うん。 ええと、俺が提案したのは、中山の膝に座るのはどうですか? ってことで、でも正面から行っちゃうと…… 「あー…と……ん? 高原、対面座位がいいのか?」 スパーン! と聞こえた一瞬、俺の後頭部に風が吹いた。 中山が後頭部を抱えて痛がってる。 級長、ナイスツッコミ。 「じゃなくて! 悪い、高原。向かい合わせじゃなくてさ、尻で座んね?」 どこまで真っ赤になれるのか、中山がヘラッと笑って訊ねると、ひろたんは益々顔を赤く染めた。 「ごっ…ごめんなさいっ」 慌てて身体を回転させると落ちかけて、中山に腰を支えられると熱い顔をまた掌で覆い隠す。 手からはみ出た耳が、真っ赤な花びらみたいで可愛い。 「ピュアだねぇ」 「ピュアだなー」 リューガくんと目を合わせて、ほのぼのと笑ってしまう。 「そういう訳で、俺たちこっちに座るね。ごめんなさい」 悪びれない笑顔で謝ると、俺たちの様子を黙って見てた3人は、各々のポーズをとって溜息を吐き出した。 「はぁーー…、マジでかぁ…」 「なんの為にクラスのTOP3呼んだと思ってんの~?」 「TOP3?」 山田くんの言葉を聞き返すと、 「女装が似合うTOP3、お前らの事だろー…」 と恨みがましい目で見返された。 そんな……なんて勝手なランキングだ……! 「別に俺は似合わないし…」 ぼそっと呟けば、 「いや、リョーちん似合ってんし」 「とても可愛いですよ。写真をとって羽崎君と沙綾さんに送りましょう」 「かっ、可愛いよ、紫藤!」 何故か友達が口々に褒めてくれた。 嬉しくないフォローありがとう! 「あんなー、知らなかった2人はともかく、女装させられるって分かってたら俺だって来ねーっつーの!」 「ケチーっ!」 リューガくんのお言葉に、田中くんが余りに悔しそうにそう叫ぶから、つい笑ってしまう。 「紫藤はどこも座ってないじゃんー。俺の膝においでよぉ」 バタバタしてる姿は面白いけど、その言葉にはノレません。 「だめ。俺、斗織の膝以外には座んないもん」 「もん、って…! ナースちょー可愛いしーっ」 袖ぴらぴら、足ばたばた。 あっ、いい加減邪魔だったのか、隣の山田くんに蹴っ飛ばされた。 「つかソレ、リアルにマジなん?」 「ソレってどれ?」 眉根を寄せる佐藤くんに訊き返す。 「羽崎と付き合ってるってやつ」

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