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第203話 とおるくん

ほっぺを膨らましながら、エスカレーターで地下に向かう。 「どう見たって男じゃん…」 斗織は宥めるように頭を撫でてくれるけど…… 「お前、服のチョイス、沙綾さんに任せんのやめれば?」 その一方で、意味の分からないアドバイスをしてきた。 「似合ってない?変?」 俺の持ってる服は、その殆どがお姉ちゃんの選んでくれたものだ。 貰う度に試着して写真を送れば、いつも似合うって喜んでくれた。デザイナーやってるくらいだから、お姉ちゃんのファッションセンスはかなりのものだろうし。 だから、服自体はちゃんとオシャレな筈なんだ。 ……そしたらやっぱり、俺が格好良くないからダメなのかなぁ…… 「ばーか。似合ってるし、変じゃねェだろ」 自分じゃ鏡見ても、本当に似合ってるのかどうか分かんないもん。 子供の頃から一緒に住んでない今も、ずっと母さんかお姉ちゃん任せだったから、服の色合わせがおかしいとか、生地同士がミスマッチとか、そのぐらいの判断しか出来ない。 エスカレーターを降りたところで、すぐ脇に手を引っ張られる。 「遼」 子供に言い聞かせるような優しい声。 「なぁに…?」 「ほら、クリスマスプレゼント」 大きな紙袋から取り出された、赤い袋に金と銀のリボンでデコレーションされたギフトバッグ。 「お前がいつまでも怒ってたら、うさぎが怖がんだろ?」 「───っ!!」 ちょっ、…ちょっと!! 俺の彼氏が可愛いこと言ってるんだけど!! 「とおるくん、怖がるかな?」 「……マジでソイツ、俺なのか?」 「うん! とおるくん、だっこして歩いていい?」 「………袋から出さなけりゃな」 「わぁい! だっこだっこぴょーんぴょんっ」 「遼、はしゃぎ過ぎだ」 軽く注意をされたけれど、苦笑するその表情は(すこぶ)る優しい。 「ふふっ。斗織からとおる貰っちゃった」 「俺も今夜、遼から遼を貰うけどな」 「っ!……それは、エッチな意味で…でしょうか…?」 「他に別の意味があんのか?」 「け…ケダモノっ!」 「そう云うのは、その気が無いヤツが言うもんだ」 コツンと頭を叩かれた。 ……うん、そうですね。 俺も、その気満々でした。 しょーがないじゃん。俺だって男だもん。 好きなんだもん。 ………あ、好きって、そういう事が、じゃなくて、斗織のことね! …………そういう事…も、相手が斗織に限って、まぁ…………好きです…ケド………

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