203 / 418
第203話 とおるくん
ほっぺを膨らましながら、エスカレーターで地下に向かう。
「どう見たって男じゃん…」
斗織は宥めるように頭を撫でてくれるけど……
「お前、服のチョイス、沙綾さんに任せんのやめれば?」
その一方で、意味の分からないアドバイスをしてきた。
「似合ってない?変?」
俺の持ってる服は、その殆どがお姉ちゃんの選んでくれたものだ。
貰う度に試着して写真を送れば、いつも似合うって喜んでくれた。デザイナーやってるくらいだから、お姉ちゃんのファッションセンスはかなりのものだろうし。
だから、服自体はちゃんとオシャレな筈なんだ。
……そしたらやっぱり、俺が格好良くないからダメなのかなぁ……
「ばーか。似合ってるし、変じゃねェだろ」
自分じゃ鏡見ても、本当に似合ってるのかどうか分かんないもん。
子供の頃から一緒に住んでない今も、ずっと母さんかお姉ちゃん任せだったから、服の色合わせがおかしいとか、生地同士がミスマッチとか、そのぐらいの判断しか出来ない。
エスカレーターを降りたところで、すぐ脇に手を引っ張られる。
「遼」
子供に言い聞かせるような優しい声。
「なぁに…?」
「ほら、クリスマスプレゼント」
大きな紙袋から取り出された、赤い袋に金と銀のリボンでデコレーションされたギフトバッグ。
「お前がいつまでも怒ってたら、うさぎが怖がんだろ?」
「───っ!!」
ちょっ、…ちょっと!!
俺の彼氏が可愛いこと言ってるんだけど!!
「とおるくん、怖がるかな?」
「……マジでソイツ、俺なのか?」
「うん! とおるくん、だっこして歩いていい?」
「………袋から出さなけりゃな」
「わぁい! だっこだっこぴょーんぴょんっ」
「遼、はしゃぎ過ぎだ」
軽く注意をされたけれど、苦笑するその表情は頗 る優しい。
「ふふっ。斗織からとおる貰っちゃった」
「俺も今夜、遼から遼を貰うけどな」
「っ!……それは、エッチな意味で…でしょうか…?」
「他に別の意味があんのか?」
「け…ケダモノっ!」
「そう云うのは、その気が無いヤツが言うもんだ」
コツンと頭を叩かれた。
……うん、そうですね。
俺も、その気満々でした。
しょーがないじゃん。俺だって男だもん。
好きなんだもん。
………あ、好きって、そういう事が、じゃなくて、斗織のことね!
…………そういう事…も、相手が斗織に限って、まぁ…………好きです…ケド………
ともだちにシェアしよう!

