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第209話 コンジョナシ
「……で、俺の後ろ、解れましたけど…?」
睨むのにも疲れて、見つめ上げながら申告する。
「だな」
フッと吹き出して、頭を撫でられた。
「だからー」
「出るか」
「じゃなくてー!」
俺だけじゃない。自分だって、準備万端じゃん。
斗織の熱く盛り上がったソコに、すっかりトロトロに溶かされた後孔を擦り付ける。
「い・れ・て?」
「っから、出てからな。ゴムまでは持ってきてねェよ」
目線を合わせておねだりしたのに、すぐに顔を逸らされてしまう。
もーっ、全然俺の誘惑が効かない!!
「此処でいいの。お風呂の中ならすぐに洗い流せるだろ? だ・か・らぁ、中で出してもいいよ?」
「はいはい。シャワーで泡流してから出ろよ」
「なんでだあっ!?」
ダメだ!だめだ、この人!!
俺が精一杯誘ってるのに、全然メロッてくんないじゃん!
もしかして、誘うなんて下品って思われてる、とか?
ひろたんみたいに照れて真っ赤になった方が可愛い?
………そりゃかわいいよ!ひろたん、めっちゃくちゃ可愛かったもん。
でも、…でもさ、俺は俺なわけじゃん?マネしたって可愛くなんてならないし…。
うぅ……、でも、斗織が「可愛くて我慢できない!」って飛びついちゃうくらい、可愛くなりたいよ、俺も……。
「とおるぅ…、俺じゃだめ…?」
可愛くないからシてくれないの?って腕を引っ張ると、盛大に溜め息を吐かれた。
そんな態度とられたら、俺だって泣きますけどぉっ!!
「っ──から、遼。……今度な」
「………今度って、なんですか?」
「今度は今度だ。大体テメェ、お前以外のヤツにゃア興味ねェって言ってんだろが」
俺じゃ駄目ってなんだ、お前じゃなきゃ駄目の間違いだ、なんて恐い顔して、とんでもない愛の言葉を投げ付けてくる。
愛の台詞のドッジボールですか?
いいですよ、受けて立ちましょう!
「じゃあ、生ですりゃいいじゃん!コンジョナシーっ!」
「誰が根性無しだ。あのなあ、遼」
ガシッと両肩を掴まれて、挑むように見上げれば指でおでこをパチンと弾かれた。
「いたっ…、ヒドい…」
「出す寸前で抜いてやる事も出来ると思うけどな、万が一中で出ちまったら困るだろ。こっちだって相当限界キテんだよ。下手したら挿れた瞬間にまた出るぞ」
グイってモノを見せ付けられて、思わず おぉ…と声を漏らしてしまう。
相変わらずご立派なモノをお持ちで……。
でも、さあ、それがどうして生で出来ない理由になるんだよ。
「別に中で出したらいいじゃん。お風呂の中だよ、すぐに処理できるから平気だろ」
デコピン返してやりたいけど更に倍返しが恐いから、脛を軽くキックする。
「だから、その処理の仕方を知らねェから、無理だっつってんだろーが。今度調べてくるから、次にするぞ、次に」
「そんなの、俺知ってるもん」
「あ?…なんで知ってんだよ、んなこと」
「だーかーら、級長が教えてくれたの!この前、斗織が…遊びに来てくれた日…の朝…」
「母親に呼び出されてすぐ帰らされた日か?」
「う、…うん……」
試験休み中も俺たちは、暇を見つけちゃ会って一緒の時間を過ごしてた。
だって、本当はずっと一緒に居たいくらいなんだもん。
4月からは、少なくとも1年は滅多に会えない生活になる。
だから、時間が合う時は出来るだけ一緒にいようって、それが俺と斗織との約束。
でも、俺はともかく斗織はお家の事でなんだかんだ忙しくて……
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