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第218話 惚れた欲目
「本当は首輪でも着けときたかったんだけどな、それじゃ学校にしてけねェだろ」
「首輪っ!?」
本気なのか冗談か、くすりと笑ってみせるけど……
それ、手錠とやってること変わんないからねっ!
手錠は、まあ…勝手な誤解だったんだけど。
「だから、手枷の代わりに時計な」
「………」
そういう意味での時計って……
───斗織…恐ろしい子!
「来年、引っ越してさ……、変な男に口説かれたら、恋人に貰ったってソレ、見せろよ」
「うん。……って言うか!だからなんで男限定で口説かれなきゃいけないんだよ!可愛い女の子が来るかも知んないじゃん」
「ばーか。女はテメェより可愛い男には寄んねェんだよ」
「それは、斗織の欲目です!」
惚れた欲目、なんて自分で言っちゃうのは恥ずかしくて、「斗織の欲目」なんて言ってみたけど……。
どっちにしろ、恥ずかしいのは変わらなかった。
楽しそうな目で、ちょっと意地悪に「何の欲目だって?」と顔を覗き込んでくる。
「もおぉっ、ちょっと待ってて!」
無理矢理顔を押し離して、ベッドの上でゴロリと回転した。
ベッドの壁側に手を差し込んで、そこに隠しておいた物を取り出す。
クリスマスラッピングされた、俺からのプレゼント。
「俺からも、斗織に。クリスマスのプレゼント」
差し出せば、
「俺にか?誕生日に悪ィな、もらっていいのか?」
そんな事を言いながら斗織、顔がニヤけちゃってる。
「貰ってくんなきゃ困るよ。斗織のサイズで買ったんだから」
答えると、斗織は包装紙からリボンから俺が心を込めて包んだラッピングを丁寧に開けていった。
そして、広げきると、ちょっと固まる。
「これなら、毎日身につけられるでしょ?」
にこっと笑ってみせると、少し引き攣った笑みを浮かべた。
「いや、布っぽい感じがしたから、マフラーかと思った」
クリスマスプレゼントの定番だし、と斗織。
「でも、マフラーは冬しか使えないだろ。俺がいない間、毎日使って欲しかったし、浮気しようとしてもこれ見ちゃったら思い留まるでしょ?」
「浮気の心配はすんな」
ゴツンと強めに小突かれた。
今日は優しくするって言ってたくせに。嘘つき。
「1週間分、7枚で足りる?」
「足りっけど、これ……曜日も決まってんのか?」
「うんっ!」
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