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第220話 お出掛けデート
外はまだ真っ暗なようだった。
だけどスマホの時計を見れば、もう6時。
いつも起きる時間だから、自然に目が覚めちゃったみたいだ。
斗織はまだまだ夢の中。
休みだし、俺ももうちょっと寝よう。
布団の中は温かいけど、スマホを取るために出した腕と顔とが大分寒い。
斗織の腕枕に頭を預けて、逆の腕を取り抱き締めさせた。
ふふっ。寝てる人ってなんでこんなにあったかいんだろ。
ほっぺた同士を擦り合わせてぬくもりを分けてもらってから、お礼にほっぺにちゅ。
もう一回、おやすみなさい。
心の中で唱えてから、ぽかぽかの布団の中 目を閉じた。
10時半過ぎ。
斗織と2人で家を出る。
勿論、ここでお別れ、なんてことはなくて。
2人で並んで駅へ向かう。
だって今日は、一日中一緒にいるって約束してくれたから。
今日は父さん帰ってくるけど、斗織は今夜も泊まってくれるんだって。
お母さんは大丈夫?って心配したけど、この時期は毎年海外なんだって教えてくれた。
お父さんの休暇が始まるから、病院から呼び出されないよう海外に逃げちゃうんだそうだ。
外科部長がそんなで、大丈夫なのかな?
だけど、だからこそ俺は、気兼ねすることなく心置きなく甘えられて、ウキウキが止まらない。
足元なんて、スキップしちゃう心持ち。
もしかして、お出かけデートって初めてじゃないかな。
学校帰りと、うちに送ってくれる時と、一緒に買い物行くのと、昨日の帰り道。
外に2人でいるのって、それぐらい。
お外デートがメインのお出かけは初めてだ。
どうしよう、嬉しいなぁ。
隣の斗織を見上げてふふっと笑う。
腕には誕生日プレゼントのペアウォッチ。
脚の長さはこんなに違うのに、急ぐこと無く歩けてる。
俺に歩調を合わせてくれてる。
俺、女の子じゃないのに、斗織は当たり前にそうしてくれる。
優しいなぁ……って、しみじみ思う。
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