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第225話 ランチは何処へ

無事プレゼントを買い終えて、混む前にと早めにランチの店を探す。 「何食いたい?」って訊かれたから「甘いの」と答えると、 「後でケーキもあんだぞ。聖一郎さんが買ってきてくれるって言ってただろ」 うげぇ…って顔をされた。 「えー、…じゃあ、辛いの」 「中間がねェのか、お前は」 冗談で言ったのに、コツンとやられた。 だけど全然痛くない。 口元を緩ませながら、まるでじゃれてるみたいなやんわりとした攻撃。 「んじゃ、フルーツパーラー行くか」 手を引いて歩き出した斗織を思わずきょとんと見上げる。 斗織が行こうと言ったお店。 そこは巷で有名な、老舗フルーツ専門店直営のお店だ。 フルーツやスイーツのメニューは豊富だって聞くけれど、…お食事メニューはどうなんだろう。 俺はスイーツだけで足りるだろうけど、斗織は、もっといっぱい食べたいよね。 「デザート系が多いけど、一応サンドイッチやオムレツもあんだとよ。なんならブッフェにして色々食ってもいいし。ブッフェなら米や麺もあるってよ」 疑問を口にしてないのに、そう教えてくれる斗織。 そんなに詳しい訳じゃない、って話しっぷりだけど、サンドイッチやオムレツがあるとか、ブッフェもあるとか…… 俺が甘いものを食べたがるって分かってて、調べてくれてたんだ。 「俺も別に、甘いもの嫌いって訳でもねェしな」 そうだ。それに斗織は、実は甘いものが好きなスイーツ男子だった! 「うん!じゃあ俺、お昼斗織にご馳走する~。ブッフェで食べまくろう!」 「ばーか。俺が連れてきたんだから俺が出すに決まってんだろ」 「斗織、破産しちゃいますよ?」 「しねェよ。いいから、ここは男に花持たせとけ」 俺も、男なんだけどな。 でも、気持ちは分かる。 男として、カッコつけたいんだろう。 俺も男だけど。 「んー…じゃあ、ごちになります!」 「ブッフェだからな、元取れよ。吐くまで食え」 「うえぇ…、胃、壊しそう」 「5キロは太れ」 「そんな食べらんないよっ」 お店に着いて、待ち時間。店員さんが前の男性3人組に、 「申し訳御座いません、こちらはレディースバイキングフロアとなっておりまして…」と入店をお断りしてた。 俺たちも男じゃん!って焦ってコートの袖を引っ張って目で訴えたんだけど、斗織は何食わぬ顔をしていて。 店員さんも普通に俺たちに、「2名様でいらっしゃいますか?」と訊ねてきた。 「あの、レディースバイキングフロア…なんですよね?」 「女性同伴でしたら男性の方もご利用いただけますので」 「な、平気だっただろ?」 シレッと言いやがって……!! そして俺たちは店内に案内されて、無事ランチブッフェに有りつく事ができたのだった。 ひどい、俺、男なのに!

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