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第227話 野生児
途中の道で、ゲーセンを冷やかしたりディスカウントショップで飲み物を買ったりしながら2人で歩く。
歌舞伎町を抜けて、ちょっと荒れたところも通ったけど、斗織が一緒にいるから平気。
恐くない。
でも、こんな道良く知ってたね、って訊ねたら、「いや、知んねェけど、こっち向かってりゃ着くだろ」って。
そんな答えが帰ってきた時には、ちょっと肝が冷えた。
それから、大通りを跨いで細道を通り、次の駅にはそう時間も掛からず辿り着いた。
「後はまあ、線路脇通ってきゃ着くだろ」
ノープラン!
この人なにげ、野生児だ!
お店は調べてても、道は調べてなかったんだね…。
でもまあ、野生児の突き進むまま、目的の駅にも案外簡単に着くことができた。
お腹もさっきよりも大分楽になってる。
「横っ腹痛くねェか?」
心配そうに訊いてくれるけど、
「大丈夫。ありがとう」
斗織がゆっくり歩いてくれたから、食後の苦しい運動にはならなかった。
導かれるままビルに入る。
途中、何故か靴のサイズを訊かれた。
「えっ、……25…てん5」
「25な」
「う…、なら斗織は幾つなんだよ?」
「27.5」
……負けた。なんか、男として、負けた……
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