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第235話 満足してる?

え…ええと……。 お兄さんは、斗織の知り合いのそーすけさんで、 男の人が好きな男の人…ってことで良いのかな? 「いいの、君? 斗織で満足してる?」 斗織の向こうからわざわざ回り込んで、顔を覗き込まれる。 「えっ?…斗織で、大満足ですけど…?」 どうしてそんな事を訊くんだろう? ……あ!もしかして、男が好きじゃない斗織が、ムリに俺と付き合ってるんじゃないかって心配してる!? 「───あっ、あの!斗織も俺のことっ、好きでいてくれてます!脅したりして付き合ってもらってるんじゃないです!」 「え?…ん?……そうなの?」 「そうです!俺達すっごく真剣に付き合ってるし、斗織のこと絶対、幸せにするのでっ、斗織のこと、取らないでください!」 話してる間に、この人も斗織のことが好きなんじゃないかって、そう思えてきた。 だって斗織は格好良いのに可愛くて、優しくて、あったかい。 俺よりもずっと付き合いは長そうだし、なにより親しそうだ。 本来の斗織が女の子を好きだって知ってる人が、男の俺なんかと付き合ってるって訊いたら…… 何か弱みを握られてるんじゃないかって、無理矢理付き合わされてるんじゃって、そう思っちゃうかもしれない。 それがゲイの人なら、そんな相手じゃなくて自分と付き合えばいい。自分が救い出してあげたいって思うのは、当然のことなのかも。 だって斗織、かっこいいもん! 「あのな、遼……」 「斗織ぅ、行っちゃやだぁ…」 「どんな発想だそりゃあ」 「いたっ」 頭をごちんとやられた。 ひどい…… けど、その後 労るように撫でてくれたから、叩いたことには目を瞑ろう。

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