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第237話 若いねぇ

斗織の飲んでるのは、アイスココアだ。 シャリって氷の音がしたから間違いない。 俺に温かいものを飲ませようとしてくれて、でも俺は猫舌で熱いものはすぐには口に出来ないから。 だから斗織は、自分にはアイスココアを買って、氷を分けて飲める熱さに下げてくれたんだ。 やさしい。 だいすき。 ちゅーしたい。 でもこんなとこじゃ出来ないから。 カップを置いて、あったまった両手で、冷たいココアで更に冷えた斗織のほっぺを包み込む。 「ね、あったかい」 「……あったけェな」 あれれ、斗織は微妙な表情。 顔は俺に向けたまま、器用に目線だけを逸らす。 「斗織?」 視線の先に回り込む。 「…んだよ?」 また逸らされた。 「だからー、斗織?」 「だから、なんだ?って」 どうして目を逸らすーっ!? 「こっち見てってば!」 「犯されてェのかテメーは!」 「えっ!?」 視界の先で氷上を滑っていた中学生と思わしき男子がバッとこちらを振り返った。 慌てて彼から、斗織からも顔を背ける。 「どうしてそう言うことになんの~~っ」 「お前が煽ってくっからだろーが」 意味がわからないーっ! 「いや~、若いねぇ、斗織くん?」 いつの間にか復活していたそーすけさんが、組んだ足に肘を付いて、可笑しそうにクッと笑った。

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