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第240話 呼び出し
倒れ伏すそーすけさんを見下ろし鼻で笑いながら、
「鬼に呼び出されたんだが、お前も行くか? 蒼佑」
斗織がそう問えば、
「いやっ! 誰が自ら望んで鬼の棲家にっ!!」
そーすけさんは一瞬にして顔面蒼白になり、スケート靴片手に逃げ去って行った。
「りょーちゃぁん、俺はいつでもウエルカムだからねー!」
去り際の捨て台詞が気持ち悪い。
初めは爽やかなイケメンお兄さんだと思ったのになぁ。
「テメェ、股間ねじ切られてェのか!!」
斗織、リンクの小学生がビビってるから……。
そんな訳で、斗織のスマホに掛かって来たのは子供を脅すための鬼電話なワケもなく。
鬼と呼ばれる斗織の次兄。そーすけさんをも脅かす『大和お兄さん』からの呼び出し電話だった。
デートはここまで。
駅でお別れになるのかな……。
また後で、来てくれるよね…?
ちょっと淋しく思いながら続く言葉を待っていると、斗織はやにわに俺の足元に跪いた。
「ごめんな、遼。せっかく楽しくなってきたのにな」
「ううんっ! だってお兄さん、お医者さんで忙しいんだろ」
だったら、向こうを優先しなきゃ。
跡取りに娘さんを譲り受けるなら、それなりに行動しなきゃいけないだろうし。
……でも、俺を置いてその女の子に会いに行っちゃうのは、ちょっとさみしいなぁ……。
スケート靴を脱がして、代わりに電話帰りに取ってきたらしいブーツを履かせてくれる。
「…フッ、ちっせェ足」
それは悪口だ!
優しいと思ったけど、男に足が小さいは思っても言っちゃダメだ!!
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