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第242話 鬼の棲み処へ

リューガくんのお屋敷に負けず劣らずな武家屋敷みたいな門をくぐって、羽崎家の敷地へ入る。 白っぽい飛び石に松の木…ってやっぱりここ、武家屋敷!! まあ、実際武家屋敷に行ったことなんて無いからただのイメージだけども。 「まっすぐ行くと母屋な。俺の住んでんのもあっち。で、ここを右に行くと茶室がある。お教室でも使ってる所だ」 そう言うと、斗織は道を左に折れる。 いやいや、門を入った後に道があるってのが変!おかしい!! 続く白い飛び石、整えられた庭木。 その向こうに、二階建ての和風家屋が見えてきた。 「あそこが、…鬼の棲み処だ」 やけに神妙な面持ちで、ゴクリと唾を飲む。 「うん…」 なんか、斗織が余りに怯えまくるせいで、逆に俺、なんだか怖くなくなってきちゃったんだけど。 隣にテンパってる人がいると冷静になれちゃう、あの現象なのかな。 斗織のこと、俺が守ってあげよう、なんて。自分の気持ちに余裕を感じる。 ゴクリと喉を鳴らし、呼び鈴を鳴らす。 本当に、そんなに怖いのかな? 自分のお兄さんだろ。 うちもお姉ちゃんはちょっと強烈キャラかもだけど、時々怒られる時も俺のこと心配してるからって分かるから、その時は怖くても、やっぱり優しくて大好きって思う。 それに、斗織のお兄さんならさ、きっとあったかい人だと思うんだよね。 斗織も少し乱暴で口も言葉遣いも良くないけど、優しいもん。 それが俺だけに向けられた優しさなら、リューガくんもマナちゃん先生も、そーすけさんも、斗織に構わない筈だもん。

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