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第257話 お姉ちゃんの暴走
「リョーくんの言うとおりだよなぁ」
うんうん、と腕を組んでは頷くマナちゃん先生。
「さっきもお前、俺と斗織のこと殴ったよな!」
お兄ちゃんにビシィッと指を突き付ける。
「さあ!まず暴力を振るったこと、謝ってもらおうか!」
「あ゙あ!?」
「すみませんでしたすみませんでした何でもありませんーっ!」
頭を抱えてしゃがみこんだ、これは……条件反射、なんだろうか?
威嚇するお兄ちゃんに怯えるマナちゃん先生。
関係ないところでビクビクしてる斗織。
……うん。この関係はさ、友達としても、兄弟としても、良くないよねぇ。
「あの、…お兄ちゃん」
「ん?どうした?」
……だから、どうして俺には笑顔なの…。
「やっぱりね、暴力はダメだと思います。叩かれたら痛いでしょう?」
「安心しろ。お前は叩かねェから」
「うぅ~ん…、そうじゃなくて」
「よしよし」
「う、うぅ~~」
傍まで行って訴えたのに、何故か頭を撫でられた。
俺の頭って撫でやすいのかな?最近良く撫でられてる気がする。
「そんな事より遼ちゃん!」
「そんな事って…!」
唐突に大きな声を出したお姉ちゃんに、グイッと腕を引っ張られた。
「そろそろ迎えの車が着くみたいよ」
「えっ…?迎えの車って??」
「大和先生、芽衣さん、今日はどうもお邪魔様でした~」
「いや、こちらこそ、獅子屋の羊羹、ご馳走様です」
「主人のいない時でも構わないので、また遊びに来てくださいね」
「ありがとうございます。真中先生も、お付き合い頂き有り難うございました」
「いーえ。可愛い生徒達の為ですから」
迎えの車、って意味不明の言葉を置いたままに、お姉ちゃんは呑気に帰りのご挨拶なんて始めちゃってる。
「あの、お姉ちゃ…」
「遼ちゃん!お別れのご挨拶は?」
「あっ、はい…。お邪魔しました」
全然分かってないままに、強要されて頭を下げる。
「おう。再来週の木曜からだからな」
「はいっ。よろしくお願いします」
「芽衣、お前門まで…」
「いえ、玄関までで結構ですよ」
お姉ちゃんはにこにことしてて、なんだか大人たちは和やかな雰囲気だけど………
「あの、お姉ちゃん…」
今日はずっと斗織と一緒にいるんだからついていけないと伝えようとすれば、
「ちょっと斗織くん、なにモタモタしてるの。用意はオッケー?遼ちゃんもボーっとしてないで、車が来ちゃうじゃない」
「だから車って、……え?斗織も一緒でいいの?」
「当たり前でしょー?何?遼ちゃん、斗織くん置いていくつもりだったの?」
「違うよっ!斗織と一緒にいるから行かないって言おうとしてたのに」
「えっ?なんで?だって今日はずっと一緒にいる約束してるんでしょ?」
「だからーっ」
もう、お姉ちゃんの言ってること、訳分かんない。
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