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第260話 まさかの彼女!?

中に誰か居るのか、それとも日課なのか。 お姉ちゃんは家の中に向かって、ただいまと声を掛けた。 彼氏はいないって言ってた……けど、もしかして彼女ならいる、とか…!? いや、姉弟揃ってまさか…と乾いた笑いを漏らしながら、脱いだ靴を片すお姉ちゃんを見つめていると、 「おかえりなさーい」 部屋から返事が聞こえた。 「───っ!?」 女の人の声だ! ……まさか、本当にお姉ちゃんの彼女!? だけど俺は、部屋から出て来た人を見て、更に驚くことになる。 「あら、聖一郎も戻ってきたの?」 「当然だよ。今日は遼司の誕生日だからね」 は………!? えっ、……なんで!? 「母さん───!?」 「遼司〜、大きく…はなってないわね。相変わらず可愛くて安心したわ。そんなところでアホ面晒して突っ立ってないで、早く入りなさい」 えっ!?いや、……ええっ!? この人、父さんと離婚した母親だけど!! 驚く俺を呆れたように笑うと、母さんはふと思い出したように、「そうだ、遼司」と廊下に戻ってくる。 「えっ、なっ、なに!?」 「Happy Birthday!17歳、おめでとう」 「あ……ありがとう……」 そして今度こそ部屋に戻ると、中から「早く入りなさいよー!」と大きな声で呼んだ。 どうしたら良いのか靴を脱げずに固まってしまった斗織に声を掛けてから、父さんが先に部屋に入る。 それからお姉ちゃんが後に続いて。 俺は斗織を振り返ると、 「良く分かんないけど、ごめんね」 手を差し出した。 「…いや」 斗織は首を横に振って、手を握り返してくれる。 「行こうか」 「ああ」 本当によく分からないんだけど、俺はお姉ちゃんと、別れたはずの両親とが待つタワーマンションの一室へと足を進めたのだった。

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