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第261話 贅沢パーティー
部屋に入ると、中には父さん、母さん、お姉ちゃん、それからシェフと思われるクック帽の人が1人、ウエイターさんが1人。
テーブルの上には彩りどりの料理に、キッチンで調理しているシェフの元にはまだ出来上がらない料理があるようで……
何の贅沢パーティーだ、これは……って、俺の誕生日とクリスマスか。
「あっ、あの…母さん?俺の恋人…ですけど…」
知らない人たちの居る場所で紹介するのもどうかと思ったけど、隣に立って斗織を見上げる。
繋いだままの手にぎゅっと力が篭った。
「はじめまして。遼司さんとお付き合いさせて頂いている、羽崎斗織と申します」
斗織は母さんに向かって挨拶すると綺麗な姿勢で頭を下げてくれた。
「はいはい、沙綾から聞いてるわよ。頭上げて」
お姉ちゃん、話しておいてくれたんだ…。
視線をやれば、お姉ちゃんは2本指を立ててニッと笑ってみせた。
俺も、ありがとうの気持ちを込めて笑い返す。
と、唐突に、
「あっ、ああっ!ねえー!」
母さんが素っ頓狂な声を上げた。
何事かと思って見れば、斗織を見て驚いている様子だった母さんは俺に視線を流すと、ニヤァと人の悪い笑みを向けてくる。
その笑い方、お姉ちゃんとそっくりだから!
ううん、お姉ちゃんの方が母さんにそっくりなのか。
なに?と視線で訊いた俺に、今度は吹き出すとか、本当に失礼な人だな!
「あーっはっはっ、遼司おっかしー」
「だから何が!?」
「だって、アンタ聖一郎のこと好きすぎるでしょ!ファザコン拗らせちゃってもーっこの子ったら」
「うるさいな。斗織と父さんは別に関係ないだろ。それに、母さんに捨てられた父さんの面倒見られるのなんか俺しかいないんだから。ファザコンじゃなくて、別に普通なの。俺がいなきゃ父さんなんか3日で干からびちゃうんだからね」
「あら、無意識?」
「そうよー。遼ちゃんたら、か~わいいの!」
なんだ…、なんだよこの2人は!
「あ、それから遼司。捨てられたってのは互いに誤解だってことが分かったからね、私たち やり直すことにしたから」
「は……!? ──父さん!?」
何を言い出したんだこの母親は、と父さんに視線を送れば、
「そういうことなんだ。驚いた?遼司」
父さんは珍しく、してやったりな顔をして、楽しそうにふふ、と笑った。
…………って、
「ええーーっ!?」
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