273 / 418
第273話 お互い様
「メリークリスマス!」
パァーン!
皆で散らからないクラッカーを鳴らして、クリスマスパーティのはじまり。
美味しそうなご馳走を前に、まずは星形にくり抜いた野菜の浮いたコンソメスープを一口。それからサラダをもぐもぐ食べていると、斗織が取り分け皿の上にフライドチキンをのせてくれた。
「遼、これ旨い」
「あっ、うん、ありがとう」
その後も幾つも「これ旨い」と食べる度に乗せられて、有り難いんだけど……
食べる量と速さの違う俺の皿に、自分と同じ量を渡してくるのは、ちょっと……
「遼、これ旨…」
「ごめん!待って!俺のお皿山盛り!!」
「あ……」
声を掛けられてやっと気付いてくれたらしい。
「嬉しいけど、斗織…、俺、こんなに食べられないよ?」
「だな」
頷くと、少しずつ減らせるものを回収してくれた。
「でも、ありがとう。気持ちだけは全部受け取ったから」
ニコッて笑いかけると、ほっぺを掻きながら少し照れたように「おう」と返事を返す。
俺の恋人かわい~。
気にしてないフリをしてローストビーフを口に運ぶ斗織にラブ光線を送っていると、
「ブフッ…!」
誰かが堪え切れないように吹き出した。
「トオル、リョーちんのこと構い過ぎだし!」
お腹を抱えて笑うリューガくんを斗織が無言で睨みつける。
けど、リューガくんのお皿だって、さっきから空になると級長が別の料理を乗せてあげてる。
ひろたんのとこは反対に、ひろたんが中山に取り分けてあげてるけど。
「皆だって構ってるじゃん~」
「皆って?…あ、リクト、シャンメリーお替わり~」
リューガくん…、そうやって級長に甘えておいての分からないって…、相当なものだと思うよ。
なんだろ、あの二人、それが普通だから自分たちじゃ気付かないのかな。
ともだちにシェアしよう!