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第273話 お互い様

「メリークリスマス!」 パァーン! 皆で散らからないクラッカーを鳴らして、クリスマスパーティのはじまり。 美味しそうなご馳走を前に、まずは星形にくり抜いた野菜の浮いたコンソメスープを一口。それからサラダをもぐもぐ食べていると、斗織が取り分け皿の上にフライドチキンをのせてくれた。 「遼、これ旨い」 「あっ、うん、ありがとう」 その後も幾つも「これ旨い」と食べる度に乗せられて、有り難いんだけど…… 食べる量と速さの違う俺の皿に、自分と同じ量を渡してくるのは、ちょっと…… 「遼、これ旨…」 「ごめん!待って!俺のお皿山盛り!!」 「あ……」 声を掛けられてやっと気付いてくれたらしい。 「嬉しいけど、斗織…、俺、こんなに食べられないよ?」 「だな」 頷くと、少しずつ減らせるものを回収してくれた。 「でも、ありがとう。気持ちだけは全部受け取ったから」 ニコッて笑いかけると、ほっぺを掻きながら少し照れたように「おう」と返事を返す。 俺の恋人かわい~。 気にしてないフリをしてローストビーフを口に運ぶ斗織にラブ光線を送っていると、 「ブフッ…!」 誰かが堪え切れないように吹き出した。 「トオル、リョーちんのこと構い過ぎだし!」 お腹を抱えて笑うリューガくんを斗織が無言で睨みつける。 けど、リューガくんのお皿だって、さっきから空になると級長が別の料理を乗せてあげてる。 ひろたんのとこは反対に、ひろたんが中山に取り分けてあげてるけど。 「皆だって構ってるじゃん~」 「皆って?…あ、リクト、シャンメリーお替わり~」 リューガくん…、そうやって級長に甘えておいての分からないって…、相当なものだと思うよ。 なんだろ、あの二人、それが普通だから自分たちじゃ気付かないのかな。

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