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第276話 DK同士の膝枕
「ああ、DK同士の膝枕が複数存在するこの空間…!」
………やっぱりね。
スーハーと息を吸い込む級長に、なんとも言えない視線を送ってしまう。自分だって男子 高校生 のくせに…。
BL的膝枕が見たいなら、俺たちだけで構わない筈だもん。見慣れてて新鮮味は無いかもしれないけど。
ちょっと嫌がってるひろたんにやらせるってとこで、そんなことを考えてるんだろうってことはなんとなく想像がついた。
まさか、スーハー始めるとは思わなかったけど。
斗織もさ、そんな人がいる時にちょっとくつろぎ過ぎじゃない?
まっすぐ仰向けじゃなくて顔が下向きに近い横向きで、太ももにほっぺた擦りつけたり時々こっそり口付けてみたり。
男の脚相手にそんなの、本当に気持ちいいのか疑問だけどさ。
だけど俺、斗織に触られるとそれだけでダメっていっつも言ってるよね。
ちょっと気持ちよくなってきちゃったじゃん!どうすんだよ!!
「なあ、リクトさあ…」
恥ずかしがるひろたんを中心に良さげなデジカメで写真を撮り続ける級長に、リューガくんが不満げな声音で話しかける。
「その写真、なんに使うんだよ」
エロいこと?と、質問に遠慮がない。
級長はにこりと笑うと、「BLと下半身事情は別物です」とカメラから離した指を立てて答えた。
……そうなんだ!俺、級長はエッチなBL読んでそう言うことしてるんだと思ってた!
「こちらの写真は、同好の志たちと萌えを分かち合う為に使用します」
「えっ、そんな…!他の人にも見せるの!?」
ひろたんが絶望的な声を出す。
「大丈夫ですよ。他所への流出は絶対にさせません」
安心させる物言いに、ひろたんはほっと息を吐き出すけど……、それ、質問への否定にはなってないから!ひろたん、騙されてるから!!
「んじゃさ、燃えの写真撮り終わったら、リクト暇んなんだろ」
リューガくんの問いかけの意味が分からないようで、級長が首を傾げる。
まあ、リューガくんも級長の言葉の意味が良くわかってないみたいだけど。
「オレも、生脚なんだけどっ」
「ええ、可愛いですよ」
「じゃなくて!!」
ちょっと怒ったみたいな表情で視線をウロウロとさまよわせる姿に、もしかしてと思い至る。
だって、これって……これってきっと……!
「……遼?」
熱くなってきたほっぺを押さえた俺の手に、斗織の手が重なった。
「ううんっ、なんでもないっ」
斗織は嫌な顔するから教えてあげない。俺一人で楽しんじゃう。
「お前、暇ならオレがひざっ…まくら…っ、してやるから、来れば!?」
ぃやった!リューガくんのデレきた~~っ!!!
「っ!?………いいんですか?」
良いに決まってるだろーが、級長!!
「やならしねーし」
リューガくんに何てこと言わせちゃうんだよ、級長!!
「では、リューガ。喜んで、お願いします」
「別にっ、喜ぶほどのことでも無くねっ?」
ソファーの上、距離を少し開けて腰掛けた級長が、リューガくんの太ももに頭を乗せる。
幸せ満開、ほわほわと花を咲かせる級長を見下ろしながら、リューガくんは口元を僅かに震わせる。
恥ずかしいのかな?それとも嬉しくて?
俺はそんなことを暢気に思いながら2人を眺めていたんだけど………
「っ……ぶっ、やっぱりムリっ!くすぐってぇ!!」
ゴン!!
身じろぎと言うには余りにも大きく、腰を上げてほぼ立ち上がったリューガくんの太ももの上から級長は無残にも放り出されて………
その様子に斗織は小さく身を震わせると、
「やっぱなぁ、マメの奴、あいつスゲェ擽ったがりなんだよ」
先に教えてあげなさい、ってことをブハッと、笑い声と共に吐き出した。
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