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第281話 ナイショだったのに
「んで、ひろたんのは?」
リューガ君に急かされて、ひろたんもショップバッグを開ける。
中を見て、すぐに笑顔が零れた。
「これ、りょーくんの?」
「うん」
俺からのプレゼントは、昨日買ったティーバッグの缶と、おまけの紅茶クッキー。
「あ、ウバだ!僕、ウバをミルクティーにして飲むの好きなんだ」
「ほんと?じゃあひろたんに当たってよかったぁ。あとね、それは同じ店で買ったアールグレイで昨夜作った紅茶クッキー」
「りょーくんが作ったの?」
「うん。口に合うといいんだけど」
「すごい!売ってるものみたいにキレイだね」
ひろたんのはしゃぐ姿に嬉しくなる。
だって、こんなに喜んでもらえるなんて、作った甲斐があったでしょ。
「お口に合うと良いのですが」
ひろたんは俺の作ったものを食べたことは無いから…。
ちょっと緊張しながら言うと、
「合うだろ。お前料理上手だし、出来たヨメだし」
何故か斗織が自信満々にそう返してくれた。
ほんと、斗織ってば……。俺にベタ惚れすぎじゃない?
「で、嵯峨野に当たったのは?」
中山が思い出したように訊ねると、級長は人差し指を唇の前に立てて、
「ナイショです」
と微笑んだ。
リューガくんが斗織の、斗織が中山の、中山が級長の、で、ひろたんが俺の、俺がひろたんの。ってことは、
「きぅちょうは、りぅがくんの?」
「はい」
「よかったね」
「ええ」
じゃあ、中身は訊かないほうが良いのかな。
独り占めしたいって気持ちが級長の中にあるのかもしれないし。
「あっ、それ、オレの好きな菓子詰め合わせ~」
「……っ!?」
って!リューガくん!?
級長の「ナイショ」って言葉聞いてた!?
「リクト、後で一緒に食おうぜ」
自由なリューガくんに、級長はちょっと苦笑しながら、はいと答える。
………ま、結局幸せそうだから、それでいいか。
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