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第284話 真冬のコミック〇ーケット
4時起きで父さんの朝ごはんとお弁当を作って、自分にもおにぎりを握った。おかかと梅干しと明太子。一応級長の分も用意した。
級長も何か持ってくるだろうけど、外は寒いから傷み辛い筈。
余ってもお昼ごはんの足しにすれば大丈夫だろう。
5時過ぎ発車の上りに乗るとすぐ、級長の姿を見つけた。
「おはよう、きぅちょう」
声を掛けると、おはようございます、と頗る笑顔で応じてくれた。
今日のことが本当に楽しみでしようがないみたい。
本当はJR線への乗換口で待ち合わせの予定だったけど、乗換の上り階段に一番近い車両に乗った俺と級長の考えは同じだったみたいで、数分早い合流になった。
そこからの道のりは級長にお任せ。
始発間際の電車内は空いていたけれど、乗換を2回した頃から混雑してきた。
お洒落な服装の人、おっきなリュックを背負った人、カートやキャリーを引いてる人。その殆どが女の人だ。
級長に訊ねると、「今日は女性向けが主ですから」と教えてくれた。
女性向けが主な所に男2人で行ったら、悪目立ちしちゃうんじゃないかな?
級長に言われて今日は俺も、男らしい服着てきてるし。
級長からのお誘いの電話の後、お姉ちゃんに『男っぽい服ってどんなのかな?』ってLimeしたら、仕事終わりに即行持ってきてくれた服は、白シャツ、黒の裏起毛付きパーカーに、濃淡グレーのチェックのパンツ、差し色でブルーのマフラーに黒の手袋。それに手持ちのグレーのピーコートと、スエードの編み上げブーツを合わせるようにと、コーディネートしてくれた。
確かに、モノトーンでカッコよく決まってると思う。
欲を言えばあと10cm背が高ければ、もっと大人に見えたんだろうけど。
黒のロングコート着て、革靴で歩いたりしてさ、斗織みたいにカッコよくなれたのに。
級長はブラウンのロングチェスターコート。
やっぱり背の高い人はロングコートが似合ってカッコいい。ずるい。
タートルネックとスキニーパンツは黒で揃えて、濃茶の革靴で、まるで大人の男のような出で立ちだ。
皮の手袋とかさ、俺がやってもスパイごっこしてる小学生…みたいには流石にならないけど、同じ服を着ても文化祭の演劇で大人の役を演じてる高校生、ぐらいにしか見えない、きっと。
会場に着いたのは丁度6時頃だった。…と言っても入場はまだまだ先で、会場の手前の結構な列に並んだ。
横に何人もが並ぶ大きな列なのに、あっという間に後ろにもズラーッと人が並んで、更に隣にも新しい列が出来ていく。
級長が言うには、前に並ぶ人達の中には始発組の他に、歩ける距離から来た人たち、車で送ってもらってきた人たち、徹夜の人たちもいるんだそうだ。
徹夜は禁止されているのに、毎回注意されても減らないんだって。
「困ったものです」と級長はまるで自分を恥じるように苦笑した。
列が落ち着いて皆が座りだしてから、持ってきたおにぎりを食べる。
級長の分もあるよ、と言えば喜んで貰ってくれて、俺にも級長の持ってきたカ〇リーメイトを分けてくれた。
「きぅちょう~、これだけじゃお腹いっぱいにならないだろ?」
ちゃんとしたもの食べなきゃだめ!と渋い顔をして見せれば、「これも持ってきてますよ」とウィダーinゼ〇ーを見せてくれた。
……ダメな人だ。
俺が修学旅行中の3日間、外食とこういった楽にとれる食事だけで過ごしてた父さんを思い出すぐらい、ダメな人だ。
「はい、これも飲む!」
魔法瓶に入れてきた味噌汁を注いで渡すと、顔を逸らしてプッと笑われた。
どーせっ、おばあちゃんみたい、とか思ってんだろ!もぉ!
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
今話から数話に渡り冬コミ舞台のお話が続きます。
でも実は作者、10年程前に行ったのが最後でして、最近のコミケがどうなっているのか、時代に合わせ変化しているのか、それとも昔の流れのままでいてくれているのか……
全くの不明であります!(汗)
もし参加者で、描写が不自然だと違和感を覚えられる方がいらっしゃいましたら、これは異次元のコミケなんだな…とご理解頂けますようお願い致します。
ちなみに、私の全盛期は、大手以外はアナログ1~3色刷り表紙が多く、CG出初めの時代でした。
今はほぼデータ入稿と聞いて、ジェネレーションギャップに戸惑っています。
私、持込み入稿してた:(´◦ω◦`):
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