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第300話 俺の天使
【静馬Side】
子供の頃からずっと想い続けている相手がいた。
保育園からの幼馴染。
小さくて、ちょっと人見知りだけど、よく笑う。時々冷たいけど、本当は優しくて、基本おとなしいくせに、元気だったり。
女の子よりも断然可愛い。
笑顔は勿論、怒ってても拗ねてても泣いてても眠ってても、誰よりも可愛いヤツ。
───そう。俺の好きな子は、男だ。
別に男が好きってわけじゃない。
普段可愛いなって目が行くのは女だ。
ただ、そんな風に目の行く女達よりも可愛いのがそいつだってだけで…。
……まあ自分でも、初恋引き摺ってるだけなんだろうな、と思ってた。
カノジョだっているし。
だから、再会出来たとしても、普通に男友達として見られるだろうって事に疑問なんてカケラも生じちゃいなかった。
…んだよな……
つい一時間前までは。
中学で成長期入って、俺も大分背が伸びた。
アイツもきっと、すっかり男になっちまってんだろーな。アイツのとーちゃん長身のオトコマエだったし。
……なんて、度々そんなコト考えてた。
男に成長したりょーじを想像して、それでも背が俺より1cmでも低けりゃいいな、とか。
───ところがなんだこの生物は!?
5~6年ぶりに再会した初恋の君は、俺の天使のままだった……!!
色素が薄いのも子供の頃のまんまで、色白の肌、柔らかな髪、澄んだ瞳に、朱い唇。
ふわふわと羽根に掛かる重力を思わせる歩き方は健在で、もう何処にも飛んで行かないよう、その手をハシと掴まえたくなった。
………だってのに、
俺はずっと想い続けてたってのに、
まさかの恋人───!?
ありえねーだろ!!
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