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第303話 ハート

お茶したファミレスを後にして、駅までの道を5人で歩く。 しーくんの家は昔俺も住んでた家の方。 電車は内回り、外回りに分かれて逆方向だ。 「俺も内回りでゆっくり帰るかな…」 そんな馬鹿げたことを言うから、冷ややかな目を向けてやった。 山手線は環状線だから、確かに逆方面に乗っても乗換えることなく何処の駅にも到着することが出来る。 だけど、15分掛からない駅に50分掛けて行こうだなんて、愚の骨頂だ。 「だって、ギリギリまで一緒にいてーじゃん!」 だから、ギリギリって、どっちかが電車乗るまでのことだろーが! 「Limeもメアドも電話番号も住所も学校も教えたし、用があれば連絡してくればいいし、」 「用が無きゃダメなのかよーっ」 「しーくん、うるさい。周りに迷惑になるから騒がないの」 「りょーじ~~っ」 「…はいはい。用が無くてもしてくればいいじゃん」 懐いてくる (俺より)図体のデカイ男が鬱陶しい。 これが、リューガくんやひろたんなら可愛いし、斗織だったら嬉しいけどさ…… 駅が近づいて、腰に下げたPASMOケースに手をやる。 ……ふと、ポケットに入ったスマホが揺れた気がした。 「ごめん、待って!」 道端に寄ってスマホを取り出すと、Limeのメッセが一通届いてた。 『今、電話いいか?』 「斗織だっ!母さん!電話してい!?」 俺の周囲に舞うハート、多分母さんは目視できたんだろう。心の目で。 いいわよ、と苦笑して承諾してくれた。

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