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第308話 逢いたかった

いっぱいイチャイチャ出来て大満足で、今は2人で入浴中。 俺の体(主に腰)を心配してお風呂の用意をしてくれて、抱っこでバスルームまで運んでくれた斗織は、その上、体まで綺麗に洗ってくれた。 沢山汗かいたからって頭と、……あと、中も綺麗に掻き出さなくちゃな、とかって…… お陰で全身ピッカピカになったけど、更に体力削がれて、ぐったりした身体を斗織に預けてないと湯船で溺れちゃいそうだ。 「遼、そう言や…」 斗織に声を掛けられて「ん?」と顔を上げようとすると、そのままでいいと髪を撫でられた。 「……いや、電話では話してたけど、逢うのは新年初だと思ってさ…。今更かもしんねェけど…」 「あ! 明けましておめでとう、斗織!ずっと逢いたかった!逢えて嬉しいですっ」 肩に押し付けた頬、背中に回した手にぎゅっと力を込めると、 はぁぁ……───斗織は大袈裟なぐらいに長~い溜め息を吐いた。 身体を少し離して見つめる。 「ん…?ダメだった?」 「いや、駄目じゃねェけど…」 それにしちゃ、渋い顔して俺を見てる。 「つかお前、俺の言葉を最後まで聞け」 コツン、て優しく頭を叩かれた。 「はい! 聞きます!」 手を上げると、今度はおでこをピンッてされる。 口元には呆れたような、愛しむような、優しい笑みを浮かべて。 「俺に、逢いたかったのか?」 「逢いたかったよ! 淋しかった」 「にしちゃ、迎えが鍋両手持ちだったじゃねェか」 「あ…れはぁ……自己防衛って言うか……、っいいじゃん! あれはもう忘れて、無かったことにしよう!」 流石に不審者かと思った…なんて言えないけど、あれはこっそり入ってきた斗織が悪かったと思う。 父さんも、一言ぐらい連絡くれれば良かったのにさ。 そんな事を考えながら口を尖らせてると、伸びてきた指先に唇をむぎゅっと摘まれた。 「そんな顔すんな。笑ってろ」 それから斗織はヘンになった俺の顔にフッと噴き出すと、拗ねて膨れたほっぺたを指先で擽って、俺を小さく笑わせたのだった。

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